南鳥島(東京都)沖でレアアース(希土類)を含む泥の試掘を成功させた海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が14日、約1か月の航海を終え、静岡市の清水港に帰港した。今後、回収した泥に含まれるレアアースの種類や量などを分析し、来年2月の本格試掘に向けた基礎データとして役立てる。
ちきゅうは1月12日に同港から出発し、今月1日未明、南鳥島の南東沖約150キロ・メートルの排他的経済水域(EEZ)内で、水深約5700メートルの深海底から初めて泥を船上に引き上げた。試掘は約2日間かけて場所を変えながら3か所で行われた。今後、回収した泥の量や成分を調べる。この海域の泥には、電気自動車のモーターなどに使うネオジムやジスプロシウムなどのレアアースが豊富に含まれていることが、事前の調査で分かっている。
試掘は、内閣府の大型研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環。清水港では、海洋機構や地元支援団体の関係者らが拍手で出迎え、船長らに花束が手渡された。両手を振って船を出迎えたSIPの石井正一プログラムディレクターは「まさに歴史的快挙。今後は南鳥島レアアースの生産技術の加速化を進めたい」と語った。
今回、船から海底にパイプを延ばして泥を回収する装置が水深6000メートル近い深海でも問題なく稼働することを確認できたため、来年2月の本格試掘では1日最大350トンの採取を目指す。その結果を踏まえ、2028年3月までに採算性に関する報告書をまとめる。
レアアースはハイテク産業に不可欠な素材だが、生産量の大半を中国が握っており、調達先の多角化が課題となっている。