不法滞在しているタイ人や就労資格のない中国人らを解体作業員として働かせたとして、山梨県警南アルプス署は12日、中国籍で解体業「順行」(南アルプス市)の社長の男(50)を入管難民法違反(不法就労助長)容疑で逮捕した。同署は不法滞在の外国人雇用が常態化していた可能性もあるとみて調べを進めている。
発表などによると、容疑者は昨年11月、いずれも不法滞在するなどしていた中国籍の男2人とタイ国籍の男1人の計3人を解体作業員として市内で働かせた疑い。調べに対し、「中国人については自分が面接していないので知らない。タイ人は後で確認しようと思っていた」などと供述している。
中国人とタイ人の3人は、別のもう1人の中国人の男と計4人で解体作業をしていたところ、近隣住民とトラブルを起こしていた。このため、同署員が駆けつけ、不法滞在が発覚。いずれも同法違反(不法残留)容疑で現行犯逮捕され、雇用先だった容疑者の不法就労助長の疑いが浮上。同署は今年に入って、容疑者の会社を捜索し、関係資料を押収するなどして捜査を進めてきた。
同社では、これまでも外国人労働者を雇っており、同署では容疑者がほかにも不法滞在するなどしている外国人らを雇っていた可能性があるとみて捜査している。
民間の調査会社などによると、同社は1998年創業。アパートやビルなどの解体工事などを手がけていた。2024年の売り上げは2億7600万円。
不法滞在で逮捕された外国人の男4人は、同法違反で起訴されており、このうち中国人の男1人の初公判が5日、甲府地裁で開かれた。
この男は容疑者の逮捕容疑には含まれなかったものの、公判の中で、容疑者の会社で働くことになった経緯などを説明した。
男は観光目的で入国したものの、直後に財布とパスポートをなくしたため、インターネットを通して容疑者の会社を紹介してもらったなどとしたうえで、被告人質問では給与について「日給1万円程度」とし、中国の家族に生活費を仕送りしていたとしている。
在留カード「確認した」
入管難民法違反(不法就労助長)容疑で逮捕された容疑者は逮捕前、読売新聞の取材に答え、「在留カードを確認していた」などと話した。主な一問一答は以下の通り。
――外国人の労働者はずっと前から雇っている。
「そんなことはない。いつからかは忘れたが、人手が足りなくなったら雇っていた」
――自分で中国から連れてくる。
「私が中国に行って連れてくることもあるが、基本的には他の会社から紹介を受けて連れてくることが多い」
――不法滞在で逮捕された外国人はいつから雇っていた。
「中国人の1人は6年くらい前で、ほか2人は2年くらい前」
――在留カードは確認した。
「ちゃんとしたが、その後はしていなかった。切れているのも知らなかった」