「斎藤元彦票」巡り自民県連内に不協和音、県議団と神戸市議団が一枚岩なれず…兵庫2区議席は維新に

衆院選兵庫2区(神戸市北区など)で、無所属で立候補した自民党の前神戸市議(自民党県連推薦)が斎藤元彦・兵庫県知事の支持票を取り込もうとしたことで、党県連内に不協和音が生じている。斎藤知事を巡るスタンスに違いがある県議と市議ではうまく協力できず、自民票が思うように得られなかった。今後の県連運営を懸念する声も出ている。
兵庫2区は長年、自民が候補者を立てず、公明党を支援。公明が立憲民主党と中道改革連合を結成して撤退したことで、自民県連が公認候補の擁立に動いた。
手を挙げたのが、神戸市議が全面支援する元市議会議長・坊恭寿氏(58)と同市北区選出の自民県議・奥谷謙一氏(40)だった。県連は2人の公認を党本部に求めたが、党本部は見送りを決定。連立政権を組む日本維新の会の要請を受けた対応だったが、反発した坊氏が無所属での出馬を決意し、県連が推薦した。
公認が出ず、党調査で知名度不足が明らかになった坊氏の陣営が着目したのが、前回知事選で111万票、2区内で8万票以上を集めた「斎藤票」だった。
2025年の参院選で投票日当日に読売新聞社がNHKや日本テレビ系列各局と共同実施した出口調査によると、投票の際に参考にしたメディアとして「SNS・動画投稿サイト」を選んだ人の68%が斎藤知事を「支持する」と回答していた。
陣営はSNSが有効だと考え、斎藤知事を支持する地域政党・躍動の会と連携。坊氏が所属県議と話し合う動画をSNSで発信したほか、街頭演説で「県市協調」を訴える様子も流し、「斎藤色」を強めた。
一方で陣営は、奥谷氏から応援を受けることを拒否。斎藤知事の内部告発問題を調査する県議会百条委員会の委員長を奥谷氏が務めたことから、「反斎藤色が強まる」(陣営幹部)と考えた。
奥谷氏は坊氏の出陣式に出席。「立候補できず、残念だったけど、(地元から)国会議員を出すために応援したい」と記者団に語ったが、その後個人演説会への出席自粛を求められた。坊氏との公認争いで自身が退いた経緯もあり、「県連推薦の候補なのに応援もさせてもらえなかった。これでは一丸となるのも無理だ」と周囲に話した。
結果は、当選した維新候補が8・2万票、坊氏が4・1万票。投票日当日に読売新聞社などが実施した出口調査によると、自民支持層の50%が維新候補に投票したと回答。坊氏は38%にとどまった。2区内の比例票で自民は維新の倍近くの6・1万票を集め、県連幹部は「一丸となれたら、勝てたかも」と悔やんだ。
斎藤知事との距離感を巡っては、知事選でも自民の県議団と神戸市議団で対応が異なった。不信任決議を主導した自民県議団は自主投票と決め、斎藤知事支援を禁止したが、神戸市議団が「自主投票なのに、支援を禁じるのは問題だ」などと反発。市議団が維新を離党した無所属候補を支援し、県議の一部が別の候補を応援したことで、票が分散し、斎藤知事の再選を後押しする結果を招いた。
自民県議は「斎藤知事と全面的には対立していない」と説明。内部告発問題で説明責任を果たすよう求める一方、予算案可決など政策面では是々非々で向き合っていることを強調し、「直接向き合っていない市議団中心の陣営が勝手に斎藤色を強めるのは面白くない」と不快感を示す。
選挙結果を踏まえ、坊氏を応援したある神戸市議は「露出増につながった」と手応えを強調。県連幹部のある県議は「一枚岩になれなかったことは今後の県連内に禍根を残すかもしれない」と不安を吐露した。