《なぜ高市早苗首相はここまで支持されたのか》背景にある「リベラルの自滅」と“おじさん首相”とは異なる期待感 “動画大量投下”による人気継続には懐疑的な声も

「日本列島を強く、豊かに。重い、重い、責任の始まりです」──こう選挙戦のキャッチフレーズを繰り返し、国民からの負託に責任感をにじませた高市早苗首相(64才)。いま彼女の心の内を占めるのは、安心か、それとも孤独か。歴史的な勝利の背景と待ち受ける展望を追った。【前後編の前編】
「党一丸となって、歯を食いしばって、国民の皆様とのお約束を実現していく。私はその先頭に立って、やり抜いてまいります。(中略)勝利の余韻に浸っている余裕は、私たちにはございません」
戦後最多の議席を獲得した激戦から一夜明けた2月9日、会見に臨んだ高市首相は、尊敬する故・サッチャー元英首相が好んだロイヤルブルーのジャケットに身を包み、そう言って表情を引き締めたのだった──。16日間の短期決戦は、自民党の歴史的圧勝で幕を閉じた。
「党内にも根回ししない唐突な解散劇には当初、『大義なき解散』という批判もありましたが、ふたを開けてみれば、連立を組む日本維新の会とあわせて352議席。自民党だけでも衆議院の3分の2を超える316議席と、結党以来最多の議席数を獲得しました。しかも、想定外の勝利で、得票数に対し比例名簿に掲載した候補者の数が足りず、議席を他党に譲り渡した上での数字というおまけ付きです。
これで高市首相の力は飛躍的に強くなります。開票時から一貫して表情を引き締めていますが、内心はホクホクで笑いが止まらないといったところでしょう」(全国紙政治部記者)
高市旋風の名にふさわしい大勝利。しかし、関係者も”この風”の要因を明確に言葉にできない現実があるようだ。
「高市さんの毅然とした雰囲気と、時にお茶目で人懐っこい人柄が、女性や若者の有権者の心をとらえたのは間違いない。彼女なら日本社会に漂う閉塞感を打破し、『何かをやってくれそう』という期待が膨らんだことは伝わってきます。
ただ、選挙戦を通じて、彼女が『何をやるのか』の議論が盛んに行われたとは言いがたい。中には途中から『高市さんを支えさせてください』とだけ訴えて、中身のない推し活ならぬ”サナ活”の流れに乗った当選者もいる」(自民党関係者)
高市首相への期待感が醸成され、圧倒的な支持につながった背景を識者たちはどう分析しているのか。元衆議院議員で弁護士の山尾志桜里氏は、出演した配信番組でこう語っている。
「熱狂なき旋風。消極的な選択も含めて高市さんや自民党に投票した有権者も多いのではないか。その裏にはリベラルの自滅もありました。加速度的に変化する時代の中で、必死に食らいついて変化していくという高市さんの執念が評価された一方で、中道(改革連合)はノスタルジーに走ったが、この違いは大きかった」