愛媛大の野見山桂(けい)准教授(環境化学)らの研究グループが、日本で流通する犬用と猫用のペットフード計100製品を分析したところ、健康への影響が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)を多数の製品から検出した。特に魚を主原料とすると高い濃度となる傾向があった。ペットフードを対象に体系的に行った初の大規模研究であり、グループは「汚染蓄積の実態把握と健康リスク評価の指針が求められる」と訴えている。
学術誌「Environmental Pollution」に発表した。PFASは体内に長期間残留・蓄積しやすく、肝機能障害、免疫機能低下や発がん性のリスクが指摘されている。
研究グループは国内で一般的に流通するペットフード100製品(犬用48、猫用52)を調べた。微量な薬物、毒物なども正確に定量できる質量分析計で34種類のPFASを網羅的に分析したところ、検出限界未満だった8製品を除く92製品から何らかの種類のPFASを検出した。
ペットフード1グラム当たりのPFAS濃度は、犬用ドライフード=最高値1・7ナノグラム(ナノは10億分の1)、中央値0・2ナノグラム▽猫用ドライフード=最高値16ナノグラム、中央値0・18ナノグラム▽犬用ウエットフード=最高値0・67ナノグラム、中央値0・036ナノグラム▽猫用ウエットフード=最高値9・9ナノグラム、中央値0・11ナノグラム――という結果だった。
主原料では肉を使ったペットフードに比べ、魚を使った製品が高めの濃度を示す傾向が見られた。猫用ドライフードで最高値の1グラム中16ナノグラムとなった製品(中国原産)は、原材料にまるごとの小魚を使っていた。これまでの研究でも、魚は肉の部分に比べ肝臓、腎臓などの内臓にPFASが蓄積しやすいことが分かっており、こうした魚の使用が健康上のリスクとなる可能性を示している。グループは、海洋での食物連鎖によるPFAS汚染の拡散と深刻化を懸念している。
健康リスクを探る見地から、グループはヒトが生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1週間当たりの摂取量を主要PFASについて数値化した欧州食品安全機関(EFSA)のハザード指数(HQ)を、犬、猫の体重と推定給餌量で換算した。その結果、犬用、猫用のドライフード、ウエットフードの全てのタイプで中央値はHQ1(1以上は懸念があるレベル)を上回り、摂取を長期間続けると潜在的な健康リスクがあることを示唆した。
野見山准教授は「指数はあくまでヒトを対象としているため、今後は犬、猫の健康への影響について明らかにしていく必要がある」と話す。一方で、「家庭環境の中でペットは弱い存在だが、一方でヒトもPFASの影響を受けかねず、ペットはそれを知る監視役としても機能することになる」と指摘。PFASの汚染実態について今後も研究を進めていくという。【松倉展人】