「鬼畜にも劣る蛮行」有期刑上限の懲役30年求刑 教え子の女子児童8人に性的虐待加えた永末哲也被告(62) ”保護者から信頼”道場経営者の裏の顔【判決詳報・前編】

2018年から2024年にかけて、自身が経営する福岡県内の道場で教え子の女子児童8人に性的虐待を繰り返した永末哲也被告(62)。
強制性交等・不同意性交等・強制わいせつ・不同意わいせつ・性的姿態等撮影・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた。
起訴された事件は性交等32件、性交等の未遂3件、わいせつ行為14件に及び、これらの行為を撮影した動画及び画像は数百点に上った。
検察側は「鬼畜にも劣る浅ましい蛮行と言わざるを得ない」として有期刑の上限となる懲役30年を求刑。

一方、弁護側は懲役15年が相当と主張した。
「厳しいが、練習以外では優しく寄り添う側面も…」信頼されていた指導者の裏の顔
被害者となった女子児童たちは、永末被告が経営する道場の教え子だった。
保護者からは

「練習中は厳しいが、練習以外では子ども一人一人に優しく寄り添う側面もあった」

と信頼されていた。
しかし、その信頼の裏で永末被告は、遅くとも2018年から教え子の女子児童たちに性的虐待を繰り返していた。
被害者の一人は、徐々に性的知識を身に付ける中で、永末被告からの行為によって妊娠したのではないかと不安に思うようになった。
誰にも相談できず、ついには保護者の前で泣き出すまで追い込まれていた。
「最初はストレッチをする中で…自分の衝動を抑えられなくなってエスカレートしていきました」
2025年11月27日の被告人質問で、丸坊主姿で法廷に現れた永末被告は、ぼそぼそと犯行に至った経緯を語った。
「だんだん本人に会うにつれて、話をするようになって仲良くなって、女性として見るようになってきました」
「最初はストレッチをする中で、体を触ったりとか、お尻を触ったりとかそういうことを始めました」
「それから自分の衝動を抑えられなくなってエスカレートしていきました」
法廷で明らかにされた支配構造 女子児童たちが抵抗できなかった理由
永末被告は道場の経営者であり、昇級試験の試験官でもあった。
被害を受けた児童たちの多くは大会での入賞などを目標に熱心に練習に取り組んでおり、永末被告に逆らえば”昇級ができない””大会に出させてもらえない””口をきいてもらえない”といった不利益を恐れていた。
永末被告は

「私は先生であり、指導員であるということを彼女が認識して逆らえないというふうに思ったんだと思います」

と述べた。
永末被告「これ以上、被害者の方が多くならなくて済んでよかった」
弁護側からの質問で永末被告は、被害児童たちへの謝罪の言葉を述べた。

「何の罪もない被害者の方、ご家族の方、ご親族の方、本当に申し訳ないことをしたと思っています。申し訳ございませんでした」
身柄が拘束されていることについて聞かれると

「これ以上、被害者の方が多くならなくて済んでよかった」

と逮捕されたことへの認識も述べた。
自らの意思では犯行を止められない状態だったことを自認した発言だった。
検察側「生きて刑務所を出られないかも…」永末被告「想像力が足りなかった」
一方、検察側から犯行時の心情について聞かれると、永末被告は

「分かりません」

「当時の心境は分かりません」

などと繰り返していた。
被告人質問の終わりに、検察側はこう問いかけた。

「あなたの年齢もありますから、場合によってはあなた生きて刑務所を出られないかもしれない。そういった自覚って、事件を起こすときありましたか」
これに対し永末被告は

「事件起こす前はありませんでした」

「自分がおろかだったと思います」

「想像力が足りなかった」

と答えていた。
「殺してやりたい」「心の底から笑えなくなった」家族の意見陳述
意見陳述では、保護者たちの深い悲しみと激しい怒りが検察官や被害者側の弁護士によって代読された。
永末被告は目をつむってうつむきながら聞いていた。
ある保護者はこう思いを明かした。

「私たち夫婦は何をしても、心の底から笑うことができなくなりました。人として生きる上で必要な感情の一つを殺されたという感覚で、この感覚は今でも変わりません。今後、私たちが生涯心の底から笑うことはありません」

「先日、裁判所で被告人質問を傍聴しました。改めて強い怒りや憎しみがこみ上げ、その場で殺してやりたいほどの強い衝動に襲われました」

「被告人には可能な限り長期の厳罰を望みます」
別の保護者は、拭い去ることができない心情をこう記した。

「今でも事件のことを考えると気が狂いそうになります」

「本当は事件前の幸せな生活を私たちに返してほしい。それができないなら、被告人にこの世から消えて欲しい」
検察側「鬼畜にも劣る浅ましい蛮行」有期刑の上限となる懲役30年を求刑
論告求刑で、検察側は以下のように主張した。

「被告人は、被害者らの未成熟な心理に徹底的につけこんで、親権者の信頼の下でその健全な心身の成長が期待される習い事の場を、自らの意のままに性的快楽を追求できる私的空間とし、常習的に性行為に及んでは悦に入っていたものであり、その卑劣さ、反社会性、残忍で冷酷な態様など、いずれの面においても比類なきほどに悪質であり、鬼畜にも劣る浅ましい蛮行と言わざるを得ない」

「長期間にわたって、極めて多数回にわたる蛮行に及んで、多数の被害児童らの人生の歯車を大きく狂わせているのであり、その刑責は余りにも重大」
そのうえで

「有期懲役刑を超える刑を選択する余地のない現行法の枠内では、永末被告に対しては、その最高刑をもって臨む他ない」

として、有期刑では最も長い懲役30年を求刑した。
永末被告「私の卑劣な犯行で多くの方々を不幸に…」弁護側は懲役15年を主張
一方、弁護側は最終弁論で

「被害者がやめてと言った時にはそれ以上の行為を中断するなどの様子が見受けられた」

「暴力等を用いて犯行を強行するなどの様子は見受けられなかった」

などとして、懲役15年が相当と主張した。
最終意見陳述で永末被告は以下のように述べた。

「私の卑劣な犯行のせいで、多くの方々を不幸にしてしまいました。被害者の皆さんの明るい未来を奪ってしまうことになりました。今はただ、被害者の方々に対して申し訳ないそのような気持ちでいっぱいです。これからの人生は、自分が犯した罪としっかり向き合って、刑務所において罪を償ってまいりたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」
注目の判決は2月26日、福岡地裁小倉支部で言い渡された。
※この裁判は前・後編で掲載しています。