【解説】国際情勢絡む中で年度内「予算」成立巡る与野党攻防の行方は?政治ジャーナリスト・青山和弘氏が詳しく

「2026年度予算案」の年度内成立を巡って与野党の攻防が続いています。イラン情勢などの影響も懸念される中、予算案を巡る国会の動きについて、政治ジャーナリスト・青山和弘氏に詳しく解説してもらいます。
(スタジオ)
(徳増 ないる キャスター)
2026年度予算案の年度内成立を巡って与野党の攻防が続いています。与党は年度内成立に向けて、13日にも締めくくり質疑を行い 衆議院を通過させようとしています。そして、きのうは自民党の鈴木幹事長が国民民主党の榛葉幹事長に協力を要請しました。しかし、榛葉幹事長は、どうあがいても年度内成立は難しいなどと述べ、丁寧な審議を求めて回答を保留しました。青山さん、この年度内成立に向けての与野党の動きはどう思われますか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
高市首相としては、自分が1月に衆議院を解散をしたことで、予算審議の日程は窮屈になったんですが、ここで審議を短縮することで、結局「解散しても年度内成立できたじゃないか」と言いたいわけです。自分は「物価高対策とか国民の生活を犠牲にしたわけじゃありませんよ」と。なので与党側に年度内にどうしても成立させてほしいと強く指示しているわけです。一方で野党側としては、
いくら選挙で勝ったからといってあまりに短い審議では、「これから野党は必要ないんじゃないか」ということになってしまうわけです。だから、予算成立に協力姿勢も見せている国民民主党でさえ「この日程はさすがに強引で無理があるだろう」と反対しているわけです 。選挙結果やイラン情勢なども受けた中で、どれぐらいの審議日程が適切なのかがポイントですが、国民がどう判断するかも重要になってくると思います。
(津川 祥吾 アンカー)
年度内成立の可能性について、ちょっと整理するとですね、13日に衆議院を…仮に通過するとですね、自然成立というのが1か月後にありますので、参議院の議論は置いておいても 4月12日には成立します。それを年度内に成立させるためには、3月31日までに参議院で可決しなきゃいけない。そんな状況で先ほどの自民党と国民民主党の幹事長会談の中で、榛葉さんが言ったことが気になったんですけれども、「少なくとも13日を超えて衆議院で議論すべき」。これ例えばですね、じゃあ14日土曜日はないかもしれませんが…16日月曜日まで審議しました。そこまでやったので参議院は国民民主が賛成するので年度内成立させましょうという可能性はあると思いますか。
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
私は可能性はあると思います。ここまで自民党は、高市さんが「13日までに衆議院通過」って号令をかけて、そこに向かって全く妥協せずに進んできたんです。これに野党側は反発する一方で、委員長のマイクを奪うとか牛歩戦術などの物理的な抵抗をしようとまでは思っていません。「抵抗ばかりの野党」とはもう見られたくないんですよ。だから与党が一定程度譲歩すれば…「じゃあこれぐらいでいいだろう」と矛を収める可能性はあると思うんですね。その一方で、与党が13日に、無理やり「荷崩れ」と呼ばれる状態で採決を強行すると、野党は今度は参議院の方で「衆議院で無理をしたんだから簡単に審議に応じられない」となって年度内成立がかえって難しくなる可能性が出てくるんです。なので、与党としてはどれくらい野党に譲ったら一番予算が早く成立するのかを冷静に見極めるタイミングに来ていると私は見ています。
(津川 祥吾 アンカー)
そもそもですね、野党側は「もっと審議すべきだ」と言っていますが、来年度予算の中身について、より審議を深めるべき点というのはどういったところですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
野党は、イラン情勢に政府がどう対応するのか。あと、日米首脳会談でどのようにトランプ大統領と向き合うのかということを「もっと国会で話し合いたい」などと言っています。ただこれはあす行われる予定の集中審議で議論することになっています。、野党各党には一応質問が一巡するわけです。この審議が一日で足りるのか足りないのかというのは…捉え方の問題でもあるんです。与党側は「有事の時に総理を国会に呼びつけて、いつまでも同じことを聞くのが国益にかなうのか?」などと反論していて、どのくらいが適当なのかは答えがないとも言えると思います。
(徳増 ないる キャスター)
イラン情勢が緊迫化してガソリン価格など原油価格高騰で日本への影響も大きくなりつつありますが、そんな中、19日にはアメリカのトランプ大統領との会談も控えています。
(津川 祥吾 アンカー)
このイラン問題ですね、日本が国際社会にどういう立場を表明するか、非常に重要かと思いますが…。日米関係の中で日本は何が言えるか何を言うべきかいかがでしょうか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
そもそも今回の日米首脳会談の最大のテーマは、中国問題なんですね。今、中国が日本に対して強くプレッシャーをかけてきている。そんな中で、アメリカが日本の頭越しに中国とディールを結んでしまうと、日本が孤立してしまいます。台湾問題とか日本の安全保障にも大きく関係するので、トランプさんが中国と貿易や関税の話をするのはいいんだけれども「安全保障の問題でも譲らないでください」、「アメリカは今後も東アジアの安全保障にちゃんとコミットしてください」って釘を刺しに行くわけです。ただトランプ大統領の頭の中はイラン情勢で一杯でしょうから「アメリカのイラン攻撃を支持してくれよ」とか。もっと言えば「作戦に協力してくれよ」「自衛隊も出してくれよ」って言われるんじゃないかというのが、今懸念されているわけです。そんな状況で、私が大きなポイントだと思うのが、今晩予定されているG7の首脳会合。これはリモートで行われるのですが、高市首相がトランプさんと一対一で会う前に、G7首脳全体の協議の中で、一トランプさんが何を言うか、どんな話になるかというのを見極められるのは非常にいい機会です。今晩はとても重要な会議だと思います。
(津川 祥吾 アンカー)
このG7の中で、例えばイギリスとかフランス…こういったところは、これまでどちらかというとイランの反撃、報復攻撃については明確に批判しています。一方でアメリカとイスラエルによるイラン攻撃については、あまり明確に言っていない。これはヨーロッパの中でも、ちょっと立場が違うようですけれども…G7ではどうなりそうですか?
(コメンテーター 政治ジャーナリスト 青山 和弘 氏)
トランプさんが、今回のイラン攻撃はアメリカの自衛のために行ったのだと納得できる説明ができるかが焦点です。国際法上こういう先制攻撃が認められるのは「差し迫った脅威があった」ということが認められた場合のみなんですね。その材料をちゃんと提示できるのかどうか。「先制攻撃も仕方なかったね」ということが、ある程度理解されるのかどうかが大きなポイントになると思います。特にヨーロッパの国は、ロシアのウクライナ攻撃を強く非難してきた経緯があるので、国際法違反であれば簡単に同調はできないんですね。そして日本がこうしたG7各国の議論にどのような形で乗っかっていくのかというのが大きな焦点になると思います。