辺野古転覆事故、元検事「難しい捜査」 捜査対象広く…過失責任の所在が焦点に

沖縄県名護市辺野古沖で平和学習中の同志社国際高(京都府)の生徒が乗った船2隻が転覆し、生徒ら2人が死亡した事故で、第11管区海上保安本部(那覇)は18日、海上運送法違反容疑でも捜査に着手した。2隻は同法に基づく事業登録をしていなかった疑いがある。運航する「ヘリ基地反対協議会」は、ボランティアでやってきたため登録していなかったとしているが、他人の要請に応じて運送する場合は無償でも登録が必要となる。
「白波が立ち、危ない状態」
11管は同日、業務上過失往来危険と業務上過失致死傷の両容疑の捜査を本格化させ、亡くなった2人の司法解剖を実施した。出航判断や安全管理体制に問題がなかったのか調べる方針で、今後の捜査では過失責任の所在が焦点となりそうだ。
事故当時、現場海域には波浪注意報が発表されていた。11管によると、現場海域の波高は0・5メートル、風速は4メートルだったが、「当時は明らかに白波が立ち、危ない状態だった」(捜査関係者)。
出航判断と定員近い乗船
元11管次長の遠山純司氏は「船に往来の危険を生じさせ、乗船者を死傷させたという事実関係があり、船長の過失責任が問われることになる」と指摘する。業務上過失往来危険罪は、業務上の過失により船の転覆など交通の往来に危険を生じさせた場合に成立する。一方、業務上過失致死傷罪の成立には、①事故の危険を事前に予見できたか②その結果回避のため必要な措置を講じたか―を立証する必要がある。
遠山氏は、①波浪注意報が発表される中、出航可否の判断が適切だったのか②小さな船舶に定員に近い多くの人を乗せ、小型船で波の高いリーフ(環礁)の際を航行することが適切だったのか-の2点が立証のポイントとみる。
求められる緻密な捜査
業過事件に詳しい元検事の高井康行弁護士は、船長の操船ミスではなく、出航の判断に問題があった可能性があるとみる。事故後、現場の調査活動に当たった那覇海上保安部の巡視船の搭載艇も転覆しているためだ。
高井氏は「出航判断のミスが事故原因と認定されれば、管理者側も責任を問われる」と指摘する。立件に向けた捜査では、①ヘリ基地反対協議会が管理者といえるか②出航判断に団体や引率の教員、学校側はどのように関与していたのか③学校側と団体はどのような契約関係にあったのか-出航権限の所在を解明する必要があるという。
捜査対象は広範にわたり、緻密な捜査が求められるといい、高井氏は「その意味で難しい捜査となる」とみている。(大竹直樹、倉持亮)