化粧品販売員死亡、アスベスト労災を認定 原料のタルクに含有

化粧品会社で販売員(美容部員)として働いていた宮城県の女性(当時68歳)が中皮腫で死亡したのは、化粧品やベビーパウダーの原料となる粉「タルク」に含まれていたアスベスト(石綿)を吸引したのが原因の可能性があるとして、仙台労働基準監督署が労災認定していたことが判明した。認定は昨年12月2日付。石綿被害を巡り、化粧品販売員が労災認定されたケースは全国で初めて。
支援団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が23日、明らかにした。同会によると、女性は1974年から3年3カ月、仙台市の資生堂仙台駐在所で化粧品販売員として勤務。派遣された薬局での販売対応などで化粧品やベビーパウダーを日常的に使用していたという。
女性は2024年1月ごろから腹痛などの体調不良を訴え、同年4月に中皮腫と診断された。女性の長女が8月に労災申請し、女性は約3カ月後に亡くなった。
同会は認定理由について、女性が働いていた期間は旧厚生省が石綿入りのベビーパウダーの使用を規制した87年以前であるため、化粧品に石綿が混入していた可能性がある▽化粧品会社での勤務期間が1年以上にわたり、発症まで10年以上経過している――などを挙げた。
この日、取材に応じた女性の長女は「認定されたことに感謝している」とした上で「化粧品の仕事が大好きな母だった。(認定前に亡くなったので)母は何が中皮腫の原因なのか分からないままだった」と話した。
タルクは含水ケイ酸マグネシウムを成分とする天然鉱物で、工業製品や化粧品などに使用される。発がん性のある石綿と鉱脈が近いため、過去にはタルクに混入した石綿を吸引した事例も確認されている。
タルク由来の石綿被害について、同会事務局の沢田慎一郎さん(39)は「これまで医療従事者や加工業者への労災は認定されてきたが、一般消費者に近い販売員が認められたのは初めて。中皮腫はわずかな量でも数十年かけて発症する可能性があり、潜在的な被害者も多いのではないか」と指摘する。
資生堂は毎日新聞の取材に「(労災認定について)内容を把握しておらず、詳細を確認した上で適切に対応したい」と答えた。
アスベストによる健康被害の相談は同会(0120・117・554)。【遠藤大志】