北海道砂川市の要請でヒグマを猟銃で駆除し、道公安委員会から銃所持の許可を取り消された猟友会の男性が処分を無効とするよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷は27日、道の処分は違法だとして取り消す判決を言い渡した。林道晴裁判長は、発砲には住民を保護する重要な意義があったとし、「処分は重すぎて妥当性を欠く」と述べた。男性の逆転勝訴が確定した。
裁判官5人全員一致の意見。自治体の要請でクマの駆除を担うハンターへの行政処分を巡り、最高裁が判断を示すのは初めて。人里へのクマの出没が相次ぐなか、ハンターの活動の公益性を重視した形で、駆除の現場に影響を及ぼすとみられる。
原告は、道猟友会砂川支部長の池上治男さん(77)。判決などによると、市の非常勤職員として鳥獣駆除を担っていた2018年、市の要請でクマに発砲し、駆除した。道公安委は19年、周囲の建物に弾丸が到達するおそれがある発砲で銃刀法違反などにあたるとして、銃所持の許可を取り消した。
同小法廷は判決で、発射した弾丸がクマの体を貫通し、別のハンターが持っていた猟銃に当たったとし、建物や人に当たる危険性があったと指摘。一方で、発砲は、非常勤公務員として住民保護のために行った重要な活動の一環だったとも述べた。
その上で、人が死傷する結果が生じていないことなども踏まえれば、「銃所持の許可を取り消すことは酷な面があり、ハンターの活動を萎縮(いしゅく)させる」と判断。処分は違法と結論づけた。
21年の1審・札幌地裁判決は、市の要請だったことなどを踏まえて処分を取り消したが、24年の2審・札幌高裁判決は「発砲で人の生命や身体を危険にさらした」などとし、処分は適法だと判断していた。
道公安委は、「最高裁判決を重く受け止め、適正な行政処分の実施に努める」とコメントした。