【解説】日の丸を破いたら“罪”に? 「国旗損壊罪」創設へ初会合【イチから確認 高市政策】

高市政権が進める政策や法案について、そのポイントをイチから確認していきます。自民党は31日、日本の国旗を損壊する行為を処罰するいわゆる「国旗損壊罪」の創設に向け初会合を開きました。今回は「国旗損壊罪」をめぐる議論について解説します。
日本には外国の国旗を傷つけた場合は罪になる法律があるんですが、日の丸にはないため、保守派の議員などから新たな法律が必要との声があがっていました。
主な論点は3つあります。
・「国旗」とは何をさす?
・「損壊」とはどんな行為?
・罰則について
まず、ひとつめは「国旗」とは何をさすかです。日本の国旗は私たちのよく知る「日の丸」です。実は、「日の丸」は法律で縦と横の比率などが厳密に決められていて、「白地」に赤い部分は「紅色」と定められているんです。そのため、法律上はサイズや色が少しでも違えば「日の丸」とはみなされません。
今回の法案で、対象を厳密な「日の丸」だけに限るのか、対象を拡大し自作したものや、日の丸風のデザインなどまで含めるのか、慎重な議論が求められます。
――次のポイントは「損壊」とはどんな行為かです。スポーツの現場で日の丸を持って走ったりする選手がいますが、途中で落として汚したり、傷つけてしまった場合は罪になるんですか?
誤って傷つけてしまった場合は罪にはならない見通しです。一方で、「侮辱」する目的で損壊した場合は罪に問われる可能性があります。
ただ、アートやデジタル作品、さらには風刺的な表現などで「表現の自由」が「侮辱」とされてしまうことがないか、極めて慎重に議論することが求められます。
憲法学者である武蔵野美術大学の志田陽子教授は、「社会的につらい立場にある人の言葉は、乱暴になりやすく『侮辱』ととられかねない。これを処罰すれば個人の思想信条の自由に踏み込むことになる」と警鐘を鳴らしています。
会議の主要メンバーの議員からは、「『侮辱』かどうか客観的に判断できるようにする必要がある」との声があがっています。
――3つめのポイントは「罰則」です。法案には罰則がつくんでしょうか?
罰則については海外の事例も参考にする方針です。まず、ドイツ、中国、韓国などでは懲役や罰金が科されます。一方、アメリカは「罰金」などを科す法律がありますが、「表現の自由」を理由に違憲であるとの判決が出ています。また、イギリスやカナダにはこうした法律はありません。
自民党は、現状では罰則を設ける方向で議論を進める方針です。一方、国民民主党の玉木代表は「内心の自由は憲法上で最も保護される権利だ」としたうえで、罰則を科してまで今回の法律で何を守るのかと疑問を呈しています。
また、志田教授は「萎縮効果があり、政府に批判的な言論が抑えられてしまう懸念がある」と指摘しています。
政府・与党は今の国会での法案成立を目指していて、今後、議論が本格化する見通しです。