3月下旬、夕暮れ時の埼玉県・大宮駅前。家路を急ぐサラリーマンに混じって、スーパーに立ち寄るスーツ姿の中年男性の姿があった。買い物カゴを手に取り、メンチカツやポテトサラダといった惣菜を吟味しながら、次々とカゴに入れていく──枝野幸男・前衆議院議員(61)だ。
政治部記者が語る。
「中道改革連合が惨敗した今年2月の衆議院選挙では枝野氏も逆境に抗えず、埼玉5区で自民新人の前さいたま市議・井原隆氏(43)に競り負けた。1993年に初当選して以来、32年間守り続けた議席を失いました」
もはや自宅と化していた議員会館と宿舎の荷物をまとめ、慌ただしく退去する様子が拡散されたのは衆院選直後のこと。
立憲民主党の福山哲郎・参院議員が〈荷物を整理されている姿は寂し過ぎます〉とXに投稿すると、〈えだのん、きっと戻ってきてください〉〈官房長官としての実績は皆の心に刻まれてる〉など温かいコメントも見受けられた。
「2011年、東日本大震災の発生時に官房長官だった枝野氏は数時間ごとに会見に応じ、不眠不休で対応する様子に『枝野寝ろ』という気遣いのメッセージが多く飛び交いました。2017年には立憲民主党を立ち上げた大物議員の落選は、中道にとっても痛恨だったでしょう」(同前)
冒頭の買い物をバターロールで締めた枝野氏は、歩いて家路についた。官房長官という政権ナンバー2を経験した代議士のオーラがなくなってしまったのか、すれ違う人の中に振り返る者はいなかった。枝野氏の知人が語る。
「枝野さんは現在、奥さんの実家に仮住まいをしているそうです。家庭の事情で奥さんが家を空けることも多く、義親との慣れない”マスオさん生活”中。帰宅時にはスーパーに寄って、家族の食事まで買って帰るのが日課だそうです」
落選中の生活について枝野氏に取材を申し込むと「プライベートの大事な用がある(ので取材を受ける時間がない)」とのことだったが、現在の高市政権や今後の政治活動について聞くと、書面で次のように答えた。
〈高市政権には、万機公論を集め熟議を大切にすることを強く期待します。
私は、まずは来年の統一地方選と再来年の参議院選挙を戦う立憲民主党の地元の仲間を応援すべく、政治活動を続けるつもりです〉
前出の枝野氏の知人が語る。
「3月いっぱいで6名いた秘書も大半が退職となり、事務所も縮小するようです。一方で、本人はまだまだ政治活動への意欲は衰えていないように見える」
庶民的な浪人生活の先に捲土重来となるか。