富士山に最も近い道の駅として知られる「道の駅すばしり」(静岡県小山町須走)で、前指定管理者が期間満了後も営業を続ける「異常事態」が起きている。施設を明け渡す際の原状回復工事を巡る前指定管理者と町の見解の相違が原因とみられる。利用者からは「トラブルで施設のイメージが悪くなるのでは」と懸念する声が上がっている。
営業続ける
背後に富士山がそびえる道の駅すばしりは2011年、オープンした。レストランや無料の足湯、土産店が設置されており、来場者数は年間30万人を超える。施設の運営を担うのは、町が公募で選んだ指定管理者だ。
町によると、前指定管理者の「観光開発」(小山町)は21年4月から施設を運営。しかし、昨年12月の公募では選ばれず、今年3月31日の期間満了までに、新しい指定管理者「名鉄ミライート」(愛知県一宮市)に建物を明け渡すことになっていた。
ところが、4月1日になっても施設は明け渡されず、観光開発が営業を続けている。
同社によると、同社は23年頃、町の許可を得て内装工事を実施。厨房(ちゅうぼう)の設備を更新し、建物内の床と壁紙を張り替えるなどした。この工事費用(総額約5000万円)は、同社が負担した。
町はこれらの設備について、本来は必要となる原状回復工事は不要とし、そのままの状態で期限内に明け渡すよう同社に求めていた。
しかし、同社は「(原状回復を実施しない場合)施設の価値向上を図った工事の金銭負担について対応が必要」と主張し、引き渡しを拒んでいる。
同社は、原状回復工事を行う場合、契約に従えば、期間終了後の4月1日から実施し、完了後に引き渡すこととなっているとしている。期限終了までに工事を終えなければならないとする町の認識とは食い違っている。
イメージ悪化心配
同社の担当者は読売新聞の取材に対し、「価値向上を図った設備への対応についてほとんど町から回答がなく、出て行くことはできない」と話した。「迷惑をかけて申し訳ないが、実施した工事に見合うお金をいただけないなら、原状回復を行い、資材を回収をすることは法的に認められている」と説明。営業を継続していることについては「利用者のために開けることが賢明と判断した」と述べた。
町は、今月1日から道の駅の暫定管理者となり、対応を続けている。町の担当者は、「(同社は)権限がない状態で営業している。一日でも早く明け渡してもらいたい」と話した。
道の駅をよく利用するという横浜市の男性(77)は「トラブルが原因で施設のイメージが悪くなったら悲しい。円滑に引き継ぎをしてもらいたい」と話した。