北海道・知床半島沖で2022年4月、乗客乗員26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(62)の第11回公判が16日、釧路地裁(水越壮夫裁判長)であった。検察側は「未曽有の海難事件で、安全運航に無理解・無関心な被告によってもたらされた人災」と述べ、法定刑上限の禁錮5年を求刑した。
検察側は論告で、カズワンの出航時、強風注意報や波浪注意報が出されており、同社の運航基準の2~3倍にあたる高さ2~3メートルの波が予想されていたと説明。運航管理者でもある被告は、こうした情報を収集・分析したうえで出航の可否を判断すべき立場だったとした。
波が高くなりやすく、急に荒れる現場海域の特性から、波で船体が激しく揺れ、乗客らが転倒するなどして死傷する危険性や、操船が難しくなって座礁・沈没し、乗客らが死傷する恐れがあることは予見できたとした。会社のトップであり、安全統括管理者も兼任する被告が出航中止を船長に指示していれば、事故を回避できたとも強調した。
また、会社事務所のアンテナが故障し、カズワンと連絡を取れない状況だったことなどを挙げ、安全管理体制が欠如していたと指摘。「(被害者の)家族は悲痛なまでの絶望感と喪失感、筆舌に尽くし難い苦しみや憤りを感じており、無念さは計りしれない」と述べた。
こうした事情を踏まえ、「業務上過失致死罪が想定する中で最も悪質な事案」と位置づけ、法律が許す最大限の刑を科し、責任の重大性を理解させることが不可欠だとした。
公判は17日、弁護側の最終弁論などを経て結審する。