岩手・大槌町の山林火災、津波警報に続いて住民避難…震災後に再建した自宅が「心配で眠れない」「仕事も何も手につかない」

岩手県大槌町の2か所で発生した山林火災は23日も延焼が続き、自衛隊のヘリコプターなどが消火活動にあたっている。町などによると、同日朝の時点で焼失面積は200ヘクタール超に拡大し住宅など7棟が全焼。102世帯245人が避難している。「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されるなか、避難者は不安を募らせている。(盛岡支局 小林晴紀、山森慶太)
火災は22日午後1時55分頃、小鎚(こづち)地区で発生。4時半頃、10キロほど離れた吉里吉里(きりきり)地区でも火の手が上がった。町は900世帯約1900人を対象に避難指示を発令した。60歳代女性が避難所で転倒して軽傷。
県からの災害派遣要請を受けた自衛隊は23日早朝から吉里吉里地区でヘリによる消火活動を実施。青森、秋田両県の防災ヘリも活動に加わる。現場周辺は東日本大震災の津波で被災した地域。20日の地震では津波警報が発表され、避難指示が一時出されていた。火は住宅街まで100メートルほどに迫っているという。
「自宅が心配で、眠ることができなかった。仕事も何も手につかない」
町立吉里吉里学園小学部の避難所で一夜を明かしたワカメ養殖業の女性(63)は険しい表情で語った。22日夕、漁港近くでワカメの出荷作業をしている時、自宅の方向から白煙が上がっているのに気づいた。慌てて自宅に戻ると、周囲に煙が立ちこめ火の粉が飛んできた。敷地に水をまいていたところ、消防団に促されて避難所へ向かった。
15年前の震災では津波で自宅が大規模半壊し、高台の山側に家を再建した。ローンも残っている。20日の津波警報でも避難したばかりで、女性は「地震では震災の記憶がよみがえって怖かった。自宅は燃えないでほしい」と願った。
小鎚地区で避難所となった城山公園体育館内には多くのテントが並んだ。震災の津波で自宅が流された団体職員の男性(49)は高台に再建した自宅前に火と煙が迫り、津波警報に続く避難で「何度も避難することは、精神的にも苦しい。とにかく早く火が消えてほしい」と祈るように話した。食品工場の同僚と一緒にテントで過ごしたインドネシア出身者(27)は寮の状況が心配といい、「慣れない避難所に入るのは体力的にもきつい」と疲れをにじませた。
盛岡地方気象台によると大槌町には23日朝、乾燥注意報が出されている。今後数日、まとまった雨は見込めないという。