政策研究大学院大の竹中治堅教授、高市首相は「財政の安定に気を配る必要」「消費税減税は撤回すべきだ」

[政治の現場 高市政権半年]
――高市首相の政権運営をどう評価するか。
衆院選に勝利して政権基盤を強化した。日米関係を安定させていることや、輸出可能な防衛装備品に関する「5類型」を見直したことも評価できる。日本成長戦略本部の設置や、給付付き税額控除の議論に着手したことも同様だ。
一方、財政の安定には気を配る必要がある。食料品の消費税減税に踏み切る場合、防衛費増額、成長戦略投資と合わせ、「三正面」で財源が必要になる。三正面作戦を行う余裕は今の財政にはない。国民の多くが財政状況に不安を抱いており、長期的に円安が進む要因でもある。消費税減税は撤回すべきだ。
――内閣支持率が高い要因は何か。
〈1〉経済成長を目指す政策〈2〉首相自ら政策立案に励む姿勢〈3〉X(旧ツイッター)を含め自らの言葉で発信しており、国民が理解しやすい――の3点が挙げられる。特に経済成長をここまで前面に打ち出したのは、「所得倍増計画」を掲げた池田勇人元首相以来ではないか。「失われた30年」などと言われる中で、経済を元気にしようとする姿に国民は期待している。
――今後の政権運営の課題は。
政権の安定には参院で与党が少数の「ねじれ」を解消することが不可欠で、理想は連立の枠組み拡大だ。安全保障政策が近く、現役世代の負担軽減を掲げる国民民主党が候補となる。しかし、国民民主にとって連立入りはリスクが大きく、難しい。パーシャル(部分)連合で乗り切ることが現実的だ。
日本維新の会との関係では、衆院の議員定数削減が課題となる。日本の人口あたりの国会議員数は欧州の先進国と比べて多くない。維新が主張するように単純に減らせばよいという問題ではない。特に比例だけを削減する場合、国民には小政党が多い野党に不利な改正と映るので、参院で法案が成立しない時に衆院で「3分の2」以上の多数で再可決するかが焦点となる。
――政府と自民党の関係に問題はないか。
首相は経済政策に熱心だが、自民の伝統的な支持基盤を突き崩してまで、規制緩和や改革を進めようとはしていない。ただ、総裁としての人事権を行使し、党を統制している。頻繁に人事権を使えば、自由な党内議論が制限され、何でもありの自民の良さが中長期的には損なわれる恐れがある。
――長期政権を築く上での課題は。
2年後の参院選に勝利しないと長期政権にはならない。それまで高い内閣支持率を維持する必要があり、国民が嫌がる政策は当分実行できない可能性がある。長期金利の上昇、円安によるインフレ、イラン情勢による原油不足などは首相への支持を損なう要因となる。長期政権を築いた中曽根康弘、安倍晋三の両元首相は意識的にリラックスする時間を確保していた。首相には食事や運動などを通じた体調管理も考えてもらいたい。(聞き手・鳥塚新、おわり)