検察官抗告への強い反発、背景に再審請求審の長期化 海外では判断分かれる

再審制度を見直す刑事訴訟法の改正案を巡り、法務省が7日、自民党に示した再修正案は、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を「原則禁止」としたが、規定を刑訴法の本体である「本則」ではなく、「付則」に盛り込んだことに一部議員が反発するなどして了承に至らなかった。
検察官抗告の全面禁止を求める声が根強い背景には、過去の再審請求審における審理の長期化がある。袴田巌さん(90)の再審無罪が確定した昭和41年の静岡県一家4人殺害事件では、平成26年3月、静岡地裁が最初の再審開始の決定を出したが、検察が抗告するなどし、再審開始が確定するまでに約9年かかった。事件発生から再審無罪が確定するまでには60年近くを要している。
滋賀県日野町で昭和59年、酒店経営の女性=当時(69)=が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」でも、大津地裁が平成30年7月に再審開始を認めたものの、検察が2度にわたり抗告。再審開始の確定までに7年7カ月かかった。
再審開始決定が、検察官抗告で覆る例も珍しくない。昭和54年に鹿児島県で男性の遺体が見つかった「大崎事件」では、平成14年3月と29年6月に鹿児島地裁で再審開始決定が出たが、いずれも検察官抗告により上級審で取り消された。弁護団は現在、第5次再審請求を行っている。
袴田さんを長年支えてきた姉のひで子さん(93)は3月の自民党の会議で長期化の影響を訴え、検察官抗告の禁止を求めた。会議では、再審開始までの期間が長引くことで関係者の記憶が薄れたり、証拠の劣化を招いたりすることを懸念する声が相次いだ。
海外では、再審手続きにおける検察の抗告を禁止している国もある。日本の再審法制のルーツとされるドイツは、1960年代の法改正で検察の不服申し立てを禁じた。一方、フランスは検察の抗告と同時に、請求棄却に対する請求人側の不服申し立ても禁じている。韓国は禁止規定がなく、日本と同様に抗告が可能となっている。