【永田町番外地】#76
連休中、ベトナム、オーストラリアを歴訪した高市早苗首相は訪問先で故・安倍晋三元首相が打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」構想の継承を強く打ち出したようだ。
しかし、後半国会では高市が師と仰ぎ、その後継を自負する安倍首相時代の負の遺産が重くのしかかる。皇室典範の改正は、その最たるものの一つだ。
小泉政権時代、皇室典範改正に向けた有識者会議の「女系・女性天皇を容認する」報告を当時の安倍官房長官が白紙に戻し、男系男子継承維持の意向を示して皇室典範の抜本改正を見送ったのは周知のとおり。高市は基本的にこの安倍の考えを踏襲する。国会質疑では「皇室典範は、皇位は皇統に属する男系男子がこれを継承すると定めております。ですから認められません」と述べている。言うまでもなく、今上天皇陛下の弟君である秋篠宮皇嗣殿下の長男、悠仁親王殿下の皇位継承を前提にしてのことだ。先月開催の衆参両院による「皇族数確保策に関する全体会議」も男系男子の皇位継承維持を前提として、女性宮家の創設と旧皇族男系男子の養子縁組を選択肢として一定の方向性を打ち出す予定だ。もちろん将来的な天皇制維持安定に皇族数の確保は大きな課題となるが、卑近の例でいえば、国民世論の関心事はつまるところ悠仁さまと愛子内親王殿下の皇位継承をめぐる争いごとである。小泉政権下の有識者会議が一度は示した「女系・女性天皇を容認する」姿勢が、昨今の愛子天皇待望論の下地にもなった。
「現行の皇室典範に従えば悠仁さまで決まりですが、上皇、今上天皇両陛下が愛子さまの皇位継承をお望みであることは国民の知るところであり、そのお人柄、たたずまい、素養の比類なきは、接点をお持ちの方であれば誰もが認めています」(皇室担当記者)
そうであれば、皇族数確保の皇室典範改正とは切り離し、特例による愛子天皇の誕生を後押しするのが政府、国会の務めだが高市にも国会にも今のところその気はない。
「一見すると天皇の権威と、保守を標榜する政治権力が対立する構図ですが、一皮むけば長年にわたる雅子皇后と美智子上皇后の嫁姑の代理戦争ともいえますね。皇室内で孤立する美智子さまが、高市政権に強い影響力を持つ麻生(太郎元首相)の政治力を頼りに、雅子さま、愛子さまの前に仁王立ちの状態です。美智子さまの意向は三笠宮家に嫁いだ実妹の信子さまを通じて麻生に伝えられたようです」(同前)
連休前の昭和100年の記念式典では天皇皇后両陛下の御前での“非礼”が批判されている高市だが、さて、天皇への敬愛と尊崇の念をこの先も軽視し続けるのか、見ものである。 (特命記者X)