関西電力の歴代幹部による金品受領、役員報酬補(ほてん)問題で、関電と株主が旧経営陣に損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が11日、大阪地裁(松阿弥隆裁判長)であり、八木誠前会長(76)が金品受領について「極めて特殊な事象。違法性はなく、会社に損害も与えていない」と述べた。
第三者委員会などの認定によると、八木氏は2001~09年ごろ、859万円相当の金品を高浜原発のある福井県高浜町の森山栄治元助役(19年に死去)から受け取ったとされる。八木氏は主に関電の原子力事業本部長代理を務めていた。
関電では18年に社内調査が実施され、金品受領が明らかになったが、当時会長だった八木氏は取締役会に金品受領について伝えていなかった。理由を問われ、「金品受領の違法性はなく、森山氏との関係も途絶えていた」と釈明し、「森山氏という極めてまれな人物に関する事象で、関電で頻繁に起こる問題ではない」とした。
受領した金品を会社で保管すべきだったのではないかという指摘には、「個人として預かっているからこそ、『返さないかん』という必死の思いで返せる」と持論を展開した。スーツの仕立券以外は森山氏に返還したという。
11日は、原子力事業本部長代理時に、790万円相当の金品を受領した白井良平元取締役(72)も出廷。スーツの仕立券とスーツ生地以外は同等の金品で返還し、仕立券はシュレッダーにかけて生地は燃えるごみで捨てたとした。
関電は森山氏の要求に応じる形で、森山氏の関連企業に工事を発注していたとされる。白井氏は「決裁権者ではないのでわからないが、発注は社内ルールに基づいて適正に行われていた」と述べ、便宜供与を否定した。【斉藤朋恵】