確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直し法案を審査する自民党の部会が13日開かれ、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を原則禁じる内容を本則に盛り込んだ刑事訴訟法改正案が了承された。ただし、例外的に検察官抗告を認める余地も残した。党内手続きを経て政府は15日に閣議決定する方針。法案は特別国会に提出される見通しとなった。
1カ月超にわたり紛糾した自民の審査は検察官抗告の全面禁止を求めた議員側と、抗告維持を主張した法務省が互いに譲歩した「折衷案」の形で決着した。野党の中には冤罪(えんざい)の早期救済のためには全面禁止が必須との声があり、国会審議でも検察官抗告の是非が焦点となる可能性が高い。
法務省は今月7日、法案の付則に「検察官抗告をしてはならない」と最初に明記し、「十分な理由がある場合はこの限りではない」と例外を認める2度目の修正案を自民に示した。しかし、法律の付則は施行期日など付随的な要素が記載されることが多く、議員からは「本則でなければ実効性が担保されない」などと反対意見が相次いだ。
このため鈴木馨祐・司法制度調査会長が法務省と内閣法制局との間で最終調整を進め、3度目の修正案が13日の部会に示された。現行の刑訴法本則にある再審開始決定に対する検察官の抗告を認める規定を削除する一方、十分な根拠がある場合は即時抗告や最高裁への特別抗告を可能とする規定を新たに設けた。検察が抗告した場合は、政府が理由を遅滞なく公表することも明記された。
鈴木氏は「信念に基づき真摯(しんし)に議論いただいた。国民から求められている内容になったと思う。国会で野党にも理解を得られるよう全力を尽くしたい」と述べた。
了承された法案では再審請求審の証拠開示で、裁判所は「再審請求の理由と関連する証拠」について相当と認める時は検察官への提出命令を義務化する法務省の原案を維持した。議員側から開示される証拠の範囲に懸念が示されたため、付則で「関連する証拠」の範囲が不当に狭くならないように留意しなければならないとする記載を加えた。
元被告側が再審手続き以外に開示証拠を使うことを制限する内容も法務省の原案通り盛り込まれた。【巽賢司、岩本桜】