部活の遠征に向かっていた新潟市の私立北越高校の男子ソフトテニス部の部員らを死傷させたとして5月7日、生徒たちが乗るマイクロバスを運転していた若山哲夫容疑者(68)が自動車運転過失致死傷の疑いで逮捕された。
これまで福島県警の調べに対して若山容疑者は「体調などに不安はなかった」と供述。一方で周囲の知人などは「運転できる状態とは思えなかった」と一様に漏らす。すでに、バス事故の直前にも8日間に3回も事故を起こしていたことが明らかになっている。複数の証言から浮かび上がるのは安全な運転とはほど遠い、容疑者の心身状態だった。【前後編の前編】
事故が起きたのは5月6日朝。バスには北越高校の男子ソフトテニス部の部員20名が乗車しており、同部の稲垣尋斗(ひろと)さん(17)が亡くなった。事故後の捜査でバスは道路脇のクッションドラム(緩衝設備)にぶつかり、路肩のガードレールが突き刺さったまま20~30メートルほど走行したと判明している。また、現場には目立ったブレーキ痕はなかった。
容疑者は調べに「速度を見誤った」などと話しているが、事故前からすでに”異変”は起きていたようだ。全国紙社会部記者が話す。
「北越高校から部員を乗せたバスが出発したのは早朝5時半ごろ、その少し前、高校の周辺の防犯カメラにはセンターラインを大きく反対車線にはみ出して走行する様子が映っていました。警察の聴取に対して『事故前にもトンネルで車体を擦った』などと証言している生徒もいるようです」
10日に北越高校で開かれた同校2回目の記者会見で、同校の男子ソフトテニス部の顧問・寺尾宏治氏は「容疑者と出発前に挨拶を交わしたが、異変は感じなかった」と説明。遠征先で”足”があった方が便利だと考えたこともあり、バスに同乗せず自家用車で現地に向かった。他方、バスに乗った生徒たちは走行中に危機感を覚えていたようだ。
「事故の翌日に行われた北越高校の保護者会では『(容疑者の)目がキマっていて怖かったと子どもから聞いた』など指摘し、学校側が異変に気づかなかったことに対して不信感を抱く保護者もいた。また関係者によれば容疑者の荒い運転に恐怖を覚え、親に『今日、死ぬかも』と連絡する生徒までいたそうです」(同前)
“異変”があったのは、事故前後だけではない。若山容疑者は事故の2週間前から、3度も事故を起こしていたという。
「容疑者は4月24日に自身の軽自動車で事故を起こし、地元の修理会社から代車を借りた。4月28日にはその代車でも事故があり、さらにその3日後には別の代車を運転し、日本海東北自動車道で車2台に追突する大きな事故を起こしていました」(キー局社会部記者)