ヒグマの動きが活発になる中、私たちの暮らしを守ろうと活動してくれているのが、ハンターです。ヒトとヒグマの距離が近づく中、将来に向けた人材確保の取り組みが始まっています。
まるまると太ったヒグマ。5月、北海道オホーツク地方の興部町の山中で撮影されました。
興部町 木彫り作家「250キロから300キロある。本当にメタボなヒグマと思う」
興部町では、3日前にも、国道沿いでヒグマが目撃されました。
撮影者「怖い怖い!ヤバいって」
各地でヒトとクマの距離が近づく中、将来に向けてハンターを確保していこうと、新たな試みが始まっています。
札幌の地質会社「ハンターが不足しているので、ハンタービジネス=”同行警備”に参入していく」
クマ対策の未来をにらんだ動きを、もうひとホリします。
オホーツクの興部町に住む、木彫り作家の黒澤哲也さんです。
所有している20ヘクタールほどの山林に14台のカメラを設置し、作品づくりの参考にするため、野生動物を撮影しています。
こちらは5月2日にとらえた映像。あまりの大きさに、黒澤さんが“メタボヒグマ”と呼ぶ個体です。
カメラが倒れた時に映った爪。とても鋭いことがわかります。
木彫り作家 黒澤徹也さん 「 爪痕がすごい!テープのとこ…」
11日に回収したデータにも、別なヒグマの姿が映っていました。
木彫り作家 黒澤徹也さん 「1週間から10日に一回来たら、(ヒグマが)1,2頭は映っている」
20年間にわたり、野生動物を観察してきた黒澤さんは、ここ数年、ヒグマの様子に変化を感じています。
木彫り作家 黒澤徹也さん「(ヒグマは)どんどん増えている印象。3頭の子連れも珍しくなくなっている」
2025年、北海道警に寄せられたクマ関連の通報は5249件で、過去最多に。
2025年、八雲町・熊石地区でHBCのカメラがとらえたヒグマは、畑に入り、スイカを食い荒らしていました。
この熊石地区で、いま、ユニークな展示会が開かれています。展示されているのは、本物の「箱わな」です。
箱わなに入った職員「(おりの中は狭い?)狭いです」
地元のハンターの解説も交えて、有害駆除の現場について伝える企画展。名づけて「狩猟(ハンター)×狩猟(ハンター)展」です。
展示されている模擬銃の重さは本物の銃と同じ約3.5キロです。
木下純一郎ディレクター「こちら重量感より緊張感が非常に体に伝わってきます」
ハンター歴43年の成田さんは、ヒグマと対峙する緊張感をこう語ります。
北海道猟友会八雲支部 熊石有害鳥獣駆除協力会 成田慎一副会長「恐怖です。(30代の若いころ)初めてクマを狙って撃ったが、どこを狙って撃ったのか(恐怖で)分からないくらい」
八雲町内のハンターは現在53人いますが、平均年齢は50歳前後。
今回の企画展を通じて、駆除の厳しさを伝えるとともに、なり手の確保にもつなげたい考えです。
北海道猟友会八雲支部 熊石有害鳥獣駆除協力会 成田慎一副会長「ヒグマとこの駆除ハンターの駆除体制を理解していただくいい機会」
ハンター確保への意欲は、民間企業にも広がっています。地質調査を手がける札幌の「レアックス」です。
現場の多くはヒグマなどがすむ深い山の中。これまでは地元の猟友会にハンターの同行を依頼してきましたが…。
地質調査会社レアックス 成田昌幸社長「いずれハンターがいなくなるのでは。そうすると山にも入れない状態になってくる」
高齢化などでハンターが確保できない場合に、どう備えるのか。その答えが…。
地質調査会社レアックス 成田昌幸社長「今やっている事業で永続的にやっていくのであれば、ハンターが不足しているのであれば、ハンタービジネス”同行警備”に参入していく」
自らハンターを養成しようというのです。
6月、社内プロジェクト立ち上げ、まずは30代から60代の従業員3人が、狩猟免許の取得に取り組みます。
堀内大輝キャスター: こちらの「レアックス」という企業、狩猟免許の取得費用は、もちろん会社負担です。そして銃を保管するロッカーも会社に設置して、最終的には狩猟免許を持つ社員を10人ほどに増員するという計画だそうです。また、定年を迎える社員の皆さんのセカンドキャリアにもつながるんじゃないかというふうに考えているそうなんですね。
コメンテーター 竹部礼子さん: すごい現実的な流れなのかなと思うんですけれども、で、会社の方でね、補助とかが出るということで、こう取得への負担、ハードルっていうのもすごく下がるかなと思いました。ただ、やっぱり危険と隣り合わせであることには変わりないので、そういった社員の方に、一部の社員の方に負担がかかってくるっていうことになると、やっぱり安全面での問題とか、あとはこう何かあった時の労災とか、そういうところも、しっかりクリアにした上でっていうのが前提にはなってくるのかなと思いましたね。
堀啓知キャスター: 免許取ってもすぐにヒグマを撃てるだけの技術が身に付くかって、ここも大きな問題なわけですね。
堀内大輝キャスター: 道内のハンターを巡る現状ですが、北海道によりますと、こちらのグラフが、ジビエなどへの関心の高まりを背景に、道内の狩猟免許の交付の数なんですけれども、これ徐々に増えています。左2016年で、右側が2024年度最新のデータなんですけれども、青いグラフがこれ「わな猟」です。グラフはどんどん右肩上がりになってます。2024年度の時点で5,768人ですね。
そして、赤い方、ライフルや散弾銃などを扱うことができる「第一種銃猟免許」、これも約10年前と比べると1,200人ほど増えて7,458人。この免許を持ってる人の数は、だいたい20%くらい増えているということなんですが、ただこのうち何人の方がヒグマを駆除できるのかっていうのが把握できてない状態。一般的には、シカなどを撃つ方の方が多くて、やっぱりクマとなると、そのスキルですとか、経験年数が必要になるので、限られたハンターの方しかクマというのは撃てないと言われています。
それからヒグマに関する通報も増えていますので、出動の回数、ニーズも増えています。ですから引き続きハンターの確保というのは課題ですよね。
コメンテーター 鈴木徹さん: 世の中に必要不可欠な職業、エッセンシャルワーカーなんて言われますけど、ハンターもエッセンシャルワーカーになってきてるのかなという気がしますね。であれば、やっぱりちゃんとそのビジネスとして成立させる、あの企業の方おっしゃってましたけども、正当な対価を受け取れるようにしていくと。そうしてその職業として成立するように、もちろん兼業でもいいんだけれど、そういうことが必要になってくるんじゃないかなと思いますけどね。
堀キャスター: 最近このハンターに注目したニュース、全国的にも多く報じられてますけど、ヒグマ、全国でいうとツキノワグマですけど、クマを一発で仕留めるのがいかに難しいか。あの急所が本当5~6センチとか本当に小さいところを抜かないと、外れたら向かってきてまた襲ってくるっていうことでね、けがをしてしまうということもありますけど。 今、民間のハンター確保の取り組みっていうのが、ちょっと裾野を広げてくれるんじゃないかなということで、もう今地域の大きな大きな課題になっていますので、少しでも関心を寄せる人が増えてほしいなとは思いますね。