警視庁は5月5日、東京都台東区のアメ横などの飲食店街で、無許可の路上営業の一斉摘発に乗り出した。「アメ横クリーンアップ作戦」と名付けられた、この取り締まり。
近年、路上に勝手にテーブル席を設けて営業する店が後を絶たず、通行人や緊急車両の妨げになると問題視されていた。
「上野警察署管内では、『テーブルが邪魔で通れない』『看板に衝突して店とトラブルになった』などの110番通報が昨年43件、今年に入っても21件寄せられていた。警察としても看過できなくなり、遂に動いた」(社会部記者)
当日は、警察官がチラシを配って店舗に注意を促すと共に、指導に従わなかった居酒屋については、道路交通法違反容疑で捜索。路上にあったテーブルやイスを、強制的に押収したのだ。
「誰が責任者かわからない」新しい店が急に増えた
道路使用許可を得ずに、店前にテーブル席を設置することは違法だが、コロナ禍で一時的に基準が緩和された。
だがアメ横周辺ではその後も路上の占拠が続けられ、警察の指導や警告はこの半年で1500件近くに上る。商店街関係者が嘆く。
「注意してもなかなか聞いてくれず、新しい店が増え、誰が責任者かが分からない場合もあった。台東区議会でも、問題が取り上げられる事態になっていた」
「彼らは地元の人とあまり交流せず…」
背景には時代の変化がある。戦後の闇市からスタートし、主に満州の引き揚げ者が集まって一大商店街となったアメ横。魚などの生鮮食料品店や洋服店、菓子店などが主流で、飲食店は少なかった。また、古い商店主を中心に、一定の秩序が保たれていたのだ。
だが高齢化や後継者不足などの影響で、ここ数年で一気に経営者が入れ替わった。代わりに増えたのが、中華系飲食店や中国食材店だ。
そのほか、東南アジア系、インド系など様々な国の店も進出。400あまりの店舗が軒を連ねるが、今や半数ほどの店は、中国人など外国人オーナーだという。
「インバウンド需要で客層も変わり、日本語が片言の外国人スタッフも増えた。彼らは地元の人とあまり交流せず、独自のネットワークで動いている」(同前)
上野周辺では物騒な事件も相次ぐ。1月には路上で4億円以上の現金が入ったスーツケースが奪われる事件が発生。貴金属など盗品の買い取り、マネロンに関わるグループの関係先も複数あると囁かれる。
「日本人も含め、複数の国から、アンダーグラウンドなビジネスをする者が集まっている。そこで警察は、上野界隈を要注意地域として、特に警戒を強めているのです」(捜査関係者)
今回の路上営業の摘発は交通部門が実施したが、警視庁では外国人や組織犯罪を担当する部署が、情報収集や実態解明に力を入れているという。警察の狙いは単なる摘発だけではない。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年5月21日号)