ナフサ原料のごみ袋が品薄状態、特例で「指定外でもOK」自治体相次ぐ…環境省「買いだめ控えて」

中東情勢の悪化で原油由来の「ナフサ(粗製ガソリン)」の供給不安が広がる中、ナフサを原料とする指定ごみ袋が品薄状態になり、特例的に指定外の袋の利用を認める自治体が相次いでいる。多くの場合、品薄は不安を感じた人たちによる「買いだめ」が原因とみられる。環境省は必要以上の購入を控えるなど、冷静な対応を呼びかける。(大重真弓、静岡支局 上原綺花)
「売り切れまして 申し訳ございません」
19日、静岡市駿河区のスーパーマーケット「田子重西中原店」。空になった市指定ごみ袋の陳列棚に店のおわびが貼り出されていた。店によると、約1か月前から指定袋の販売点数(1週間当たり)は前年比1・5~1・8倍に増えている。「生活必需品なので、品切れが続くと不安だ」。買い物に訪れた市内の男性(70)は困った様子で語った。
同じ駿河区のスーパー「フードマーケットマム曲金店」でも品薄状態が続く。「一家族2点限り」と購入制限を設けるなどしているが、それでも需要に仕入れが追いつかないという。スーパーの運営会社「タカラ・エムシー」の田海廣人広報課長(45)は「欠品は一時的なものだと考えているが、お客さまにご迷惑をおかけして申し訳ない」と話した。
こうした状況を受けて静岡市は18日、代替措置として、中身が見える透明か半透明の袋であれば、指定外でもごみを出せるようにすると発表した。
同様に指定袋が品薄状態に陥った群馬県伊勢崎市も11日、可燃物について、指定外の袋によるごみ出しを認めた。市内では4月中旬頃から、指定袋の販売量が例年の2倍程度に急増。「どこに行ってもごみ袋がない」といった市民の問い合わせが市に殺到したという。
指定袋は分別を徹底し、再資源化を促進する目的で導入している。市の担当者は「ナフサ不足の報道を見て、不安に思った人が多めに買ったのだろう。分別がおろそかになる恐れがあるが、現状ではしかたがない」とぼやく。
指定袋の素材を変更する自治体も現れた。愛知県大府市は3月中旬、指定袋の製造業者から「ナフサ不足で7月以降に供給が滞るかもしれない」と連絡を受け、早めに変更を決めた。新しい指定袋は、国内で使われた梱包(こんぽう)用フィルムの再生材が主な原料のため、輸入に頼ることなく、安定供給が見通せるという。従来の指定袋の在庫がなくなり次第、順次切り替える方針だ。
環境省によると、指定袋の品薄を受けて代替措置を講じた自治体は、確認できただけで約20か所あるという。品薄状態が生じながら措置にまで踏み切っていない自治体はさらに多い。
環境省が5月11~13日、ごみ袋の国内供給の9割超をカバーするメーカーと商社計28社を対象に行った調査では、いずれの社も、中東以外の原料調達ルートを確保するなどして例年通りの量を供給できると回答した。一方、4月の出荷量は前年比で1・1~2倍に増えたという。ごみの量が突然増えた事実は確認されていない。
ただ、品薄状態となっている自治体の中には、「ごみ袋の製造業者から『原材料の調達が遅れて納品が間に合わない』と連絡があった」(茨城県龍ヶ崎市)というケースもある。
石原環境相は15日の閣議後記者会見で、「国民には必要以上の購入は控えるなど、冷静な消費行動を心掛けてほしい」と呼びかけつつ、ごみ袋の流通について「目詰まりが生じていれば、経済産業省と連携して関係事業者への働きかけを行い、対応に万全を期したい」と強調した。
◆ナフサ=プラスチックや合成繊維、合成ゴム、塗料などの基礎原料。原油を精製して作られる。日本は国内消費量の4割強を中東からの輸入に頼ってきたが、経済産業省は、備蓄原油を使った国内精製のほか、中東以外からの輸入拡大により、「年を越えて供給を継続できる」との見解を示している。