ブタの腎臓をヒトに植える「異種移植」の臨床試験(治験)の計画が進み、早ければ2028年初頭にも国内で初めて実施される見通しとなった。明治大発ベンチャー「ポル・メド・テック」(川崎市)が26年度末にも治験届を国に提出する予定だと明らかにした。
種を超えて臓器を治療に使う異種移植は米中が先行する。日本ではブタからサルなどに移植する動物実験にとどまっていた。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画を届け出る。人工透析や移植が必要な慢性腎不全の患者で、心臓病など重い合併症のない50~60代を対象にする。安全性を確認するとともに有効性も検証。約半年(24週間)以上の透析離脱を有効性の一つの目安にするという。
先行して実績のある米バイオ企業「イージェネシス」からブタの細胞を輸入し、クローン技術を活用してブタを作製する。この細胞は拒絶反応を起こりにくくするため、10種類の遺伝子が操作されている。
移植には、母ブタの妊娠(約4カ月)から出生後7カ月の飼育が必要で、ポル社は治験計画の準備と並行してブタの生産や医療設備の整備なども進める。早ければ28年初頭にも国内初の異種移植が実施される見通しだ。
計画を進めるポル社の最高経営責任者(CEO)でチーフ・サイエンティストの長嶋比呂志・明治大研究特別教授(生殖生物学)は「実施する病院と本番に向けて詰めの段階」と話している。【荒木涼子、渡辺諒】