関東各地に被害を残した台風15号の通過から、9日で1カ月になる。神奈川県内ではけが人が出たほか、横浜市内でも工場が高波を受けたり、港湾施設が破損したりした。被害は深刻で、今も復旧途中だ。【田中義宏、木下翔太郎】
横浜市金沢区福浦の「山和鋼管」。1951年の創業で、ボーリング用鋼管などを製造している。高波被害の前から年内での廃業を決めていて、廃業を知った取引先からの発注が増え、工場には材料、製造中の製品や在庫品も多かった。そこに高波が襲ってきた。
海の近くにある工場は先月9日未明、護岸を超えた高波の直撃でシャッターが壊れ、工場(4357平方メートル)内に海水が浸入。特殊な製造工程の機械、配電盤、材料、出荷前の製品がほぼすべて水没した。高波は80センチの高さに達していたという。機械は同業の業者に売却する予定だったが、海水をかぶった。同社の秋林泰樹総務部長は「横浜市が管理する護岸が壊れて被害にあった。せめて壊れた機械の補償をしてもらえないだろうか」と表情を曇らせる。
同社が立地する一帯は「金沢臨海部産業団地」の福浦・幸浦地区で、東京湾に面した護岸約10カ所が高波で倒壊、海水が流入して約4平方キロメートルが浸水した。地区内に立地する約650事業所のうち約480事業所が浸水、車両水没、機械水没などの被害を受けたとみられ、市経済局の推計では約300億円の損害に上るという。
一方、港湾施設も損傷した。横浜市中区の臨港道路「南本牧はま道路」は、台風の強風にあおられた貨物船が橋げた部分に衝突して損傷し、現在も通行止めが続いている。南本牧ふ頭のコンテナターミナルと首都高速湾岸線を直結する重要な幹線であり、不通により周辺の渋滞がひどく、早期の復旧が期待されているが、通行再開の見通しは立っていない。
横浜市営の海釣り施設3カ所も台風被害を受けた。比較的被害が軽かった磯子の施設は翌10日、大黒の施設は10月4日に営業を再開した。しかし、高波の影響で護岸が倒壊して管理棟が半壊し、渡り桟橋が海中に落下した本牧の施設の被害は深刻で、渡り桟橋の引き揚げと再設置、管理棟の修繕に時間がかかるといい、市は年明けにも暫定的な営業を再開したい考えだ。