新緑の草原に群がる流線形の物体は、裏返された小型のボート。神奈川県相模原市緑区の城山ダム(津久井湖)は、水位低下のため上流部が干上がった状態が昨冬から続いている。春を迎え、人けのないボート乗り場に生えた草が風になびく。「こんな状況は30年ぶり」。貸しボート店「沼本ボート」を営む井草武夫さん(81)はため息をつく。
県企業庁企業局によると、昨年秋から続く少雨の影響で、相模川水系の三つのダムの総貯水率は3月下旬に過去最低の29%を記録。宮ヶ瀬ダム(宮ヶ瀬湖)でも、普段は湖底に沈んでいるかつての道路や標識などが姿を現した。
栃木・奥日光の中禅寺湖では、水位低下で遊覧船の桟橋が一部使用できなくなるなどの影響が出ている。観光名所の華厳滝は、日中の放水量を多いときの1割ほどの毎秒0・1~0・2立方メートルまで減らし、夜間は放水を停止している。日光土木事務所によると、通年のデータが残る過去10年では最低の水量だという。
群馬県富岡市では、節水のために対応を迫られている入浴施設も。市内にある妙義ふれあいプラザ妙義温泉「もみじの湯」は、3月から露天風呂の営業を休止、休業する曜日を1日増やした。運営する富岡市観光協会によると、3月は営業利益が前年同月比15%減、4月も同25%の減少となった。5月に入り貯水池の水位が回復傾向のため、来月2日から通常営業できることが決まり、同協会の新井良一専務理事(66)は「露天風呂が再開できるのでほっとしている」と話した。
農業用水などで水需要が高まる季節を迎えた。5月下旬になり、ようやく全国各地でまとまった雨が降るようになってきたが、ダム関係者は「限りある水資源を大切に」と節水への意識を呼びかけている。(写真と文 伊藤紘二、上甲鉄)
※写真は4月20日から5月8日に撮影
【ドローン最前線】狭い場所での火災で威力を発揮
火災現場の消火を目的として、横浜市の新興企業で消火用放水ドローンの研究開発が行われている。
大型のはしご車などが入りにくい狭小地などの火災現場で消火用ドローンを活用しようと、合同会社「WeeFeeS」(横浜市中区)が消防庁の助成を受けて取り組む。放水器具をドローン下部に接続し、飛行と放水の実証試験を重ねている。
ドローンの特徴は機体後部のプロペラ。高圧の放水で機体が押し戻されないよう、ノズルの反対側に横向きプロペラを配置し、安定した飛行につなげている。
現在は機体の姿勢制御などの調整を進めており、開発を行う末福久義さん(43)は「少しでも早く災害救助の現場で役に立ちたい」と話す。