「ナフサ危機」や「中傷動画疑惑」を頑として認めない高市首相のスタンス「一度でも非を認めて弱みを見せたら政治生命が断たれると考えている」とベテラン議員指摘

“謝ったら死ぬ病”――失敗や失言があっても頑なにそれを認めず、言い逃れを重ねるさまを皮肉ってSNSなどで使われるスラングだが、まさに高市早苗・首相に当てはまる言葉になってしまっていないか。ナフサ不足や高市事務所による中傷動画問題などに対し、一貫して「認めない」姿勢を続ける理由とは。【前後編の前編】
絶対に自分の非を認めないのが高市流
白黒パッケージのカルビー「ポテトチップス」が店頭に並び始めた日(5月25日)、高市首相は記者会見で「中東情勢のリスクを最小限にする」と電気・ガス代への補助など約3兆円の補正予算を編成すると発表した。
それでも首相は会見にパネルまで持ち出して「ナフサは足りている」と強調し、これまでと同じ説明を繰り返した。
「経済活動にブレーキをかけるような形で、中東情勢を背景として踏み込んだ節約というものをお願いする段階にはない」
だが、現実は逆だ。あらゆる業界でナフサ関連製品の品不足が深刻化、建設業界からは「原材料がなくて仕事ができない」と悲鳴が上がっている。政府も状況がわかっているから、補正予算案にナフサ不足の影響を受けた中小事業者への資金繰り支援を盛り込んだのではないのか。
にもかかわらず、高市首相は頑としてナフサ危機を認めようとはしない。
今回のナフサ問題に限ったことではない。首相はこれまでも自身の言動について批判されても非を認めず、撤回や修正、謝罪をしない姿勢を貫いてきた。
いま国会で問題になっているのが、首相自身のスキャンダルへの対応だ。
『週刊文春』が自民党総裁選や前回の総選挙の際、高市陣営が相手候補を中傷する動画をSNSで大量に投稿する工作を行なっていた疑惑を報じ(5月7日・14日合併号)、動画投稿者の男性が高市首相の公設第一秘書とオンラインでやりとりした具体的な内容も記事にしている。
この問題を国会で追及されると、高市首相は、「秘書に電話で聞いた。他候補に関するネガティブな動画の作成、発信は一切行なっていないと報告を受けている。週刊誌を信じるか、秘書を信じるかというと、私は秘書を信じる」(5月11日の参院決算委員会)などと全否定したうえ、「ないものはない」と反証などは挙げていない。
そうした姿勢は安倍内閣時代に放送法の解釈変更をめぐって官邸と総務省との間で行なわれたやりとりの文書が2023年に流出し、国会で「官邸が総務省に圧力をかけた」と追及された問題への対応と似ている。
この時、総務省が省内で作成された行政文書であることを認めた資料には、高市総務相(当時)が「テレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと発言したことが記載されていた。しかし、高市氏はこれを「捏造(ねつぞう)文書」と否定し、「書かれている内容が事実であれば、私は辞職する」と断言した。
高市首相を古くから知るベテラン議員が語る。
「絶対に自分の非や認識の誤りを認めないのが高市流。敵が多い高市さんとしては、一度でも非を認めて弱みを見せたら政治生命が断たれると考えているのではないか」
まさに”謝ったら死ぬ病”ではないか。
(後編に続く)
※週刊ポスト2026年6月19日号