栃木県宇都宮市の中心部で3日前からクマの目撃情報が相次いでいましたが、9日、1頭のクマが住宅の敷地内で発見され、麻酔銃を使って捕獲されました。一方で市はクマがほかにもいる可能性があるとして、市立の小中学校を10日も休校にするなど、引き続き警戒しています。
クマ1頭が捕獲されてもなお警戒が続く宇都宮市。示唆されている“2頭目のクマ”について、クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授と茨城県自然博物館長の山崎晃司氏に話を聞きました。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「宇都宮の街の中は頻繁にクマが出るところじゃない。1頭かなと思っていた。山から離れている場所で同時期に(複数の)個体がおりて街中をさまようのは確率的にあまりないのでは」
捕獲されたクマがオスの成獣だったことから“複数はいない”という考えです。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「メスの成獣が捕まれば、子グマがいる可能性あると思うけど、今回捕まったのがオスなので、親子とは違うと思う。比較的大きい個体なので、単独かなっていう感じ」
ただ、山内准教授が気になったというのが、商店街での映像と、9日に撮影されたフェンスをよじ登る映像です。
岩手大学農学部 山内貴義准教授
「商店街に出たのがそれほど大きい個体じゃないと思ったが、その後の映像が大きめ。きょう川の中泳いでいたりとか、どこか道歩いている映像あった。これ見ると、ちょっと大きめかなっていうのはあった。もしかしたら複数頭いるのかな。宇都宮に2頭も急に同時期に現れるのは、ちょっと異常かなと」
山崎氏も動画に映るクマの大きさから“2頭以上の可能性”を指摘します。
茨城県自然博物館長 山崎晃司氏
「商店街を走っているクマは、そんなに大きくない気がする一方で、もう少し大きめのクマが映っている動画もあったので、そのへんが、これから判断するポイント。捕獲した個体と防犯カメラ等に映った映像との突き合わせをした上で、この1頭で済んだのか、そういう判断が必要」
「いまの段階での判断は難しい」とした上で、本当に2頭以上が市内にいた場合、考えられることは…
茨城県自然博物館長 山崎晃司氏
「交尾期なんですよね。成獣のオスと成獣のメスが一緒に行動している可能性はある」
ただ、クマの生態からみたある“疑問”があるといいます。
茨城県自然博物館長 山崎晃司氏
「オスは広い範囲動くが、成獣のメスは広い範囲を動かないので、なんでこんなところで一緒にいるのか、という疑問が起きる。メスは定着性強いので、山の生息地から宇都宮まで移動する理由はないのかなと」
今後、2頭目のクマの存在をどう判断していくのか。
茨城県自然博物館長 山崎晃司氏
「フェンスにクマの体毛が残っていたと思う。あれを採取して体毛の毛根のDNAを調べると、同一か、同一じゃないかわかるのでそういうことをやるのも大事」
宇都宮市の中心部で目撃されたクマについて、これまでにわかっていることを整理します。
宇都宮市では、6日から8日まで、街中で複数の目撃情報がありましたが、9日も大学の付近などで7件の目撃情報がありました。
そして、午後2時ごろ、民家の敷地内にクマがとどまっていることを確認。麻酔銃で眠らせて捕獲しました。
これまで相次いで目撃されたクマが、すべて同一の個体かはわかっていませんが、専門家は、クマの生態や習性を考えると、生息地の山から離れた宇都宮市の街まで2頭以上が移動してくることに疑問も残ると指摘します。
一方で9日朝、警察に「クマが2頭いる」という目撃情報も寄せられていることから、9日に捕獲されたクマとは別の個体がまだ街中にいる可能性が残っているということです。
市は、8日、9日に続き10日も、宇都宮市立の小中学校すべてを休校にし、警戒を続けています。
そして、クマが街に出没しているのは宇都宮だけではありません。各地ではどのような対策が取られているのか、まとめました。
クマは1頭捕獲されたものの…
宇都宮市民
「夜は出られないなと思って、怖くてね。1頭じゃなくて2頭ぐらいいるとかという情報があるんで」
宇都宮市民
「宇都宮もう1頭いるらしいので、普通に怖い。1頭捕まったからといって」
7日にクマが駆け抜けた商店街では、9日午後9時すぎ、人通りはかなり少なく、まだまだ人々は安心できない様子です。
クマの出没で、日常が一変した地域はほかにもあります。
アナウンス
「住民のみなさまは、家の外には出ないようにするなど」
長野県松本市で8日午前、学校が集まる地域で、クマの目撃情報が相次ぎ、近隣の小学校や中学校、あわせて3校が休校となりました。
うち2校は、学校独自のマニュアルに従って、休校を判断。子供の安全を第一に考えつつ、保護者に迷惑がかかるなどの理由から、判断に悩んだ学校もありました。
クマが学校生活にも影響を及ぼすなか、9日に岩手県盛岡市の学校で初めて、クマが学校近くに出没した場合を想定した訓練が行われました。
学校は、クマの目撃情報を保護者にメールで連絡。保護者が学校に迎えに来ると学年ごとに下校していきました。
保護者
「今回やったことで次は焦らず、スムーズに迎えにこられるなと思って。とてもよかったです」
岩手県では、先月にも、岩手大学の敷地内にクマが迷い込む騒動がありました。ひょっこり現れたクマのために、大学は急きょ休校になりました。
クマの対応をめぐっては、多くの地域で学校ごとに判断がゆだねられています。こうしたなか、昨年度に市内3校がクマの影響で休校となった岩手県盛岡市では、市一律の基準を作ったといいます。
盛岡市では、クマの対応方針を3段階に分類。
出没情報が単発で、山林に逃げていくクマが目撃されている場合はレベル1の「監視」、同じエリアで複数の目撃情報がある場合はレベル2の「警戒」に引き上げ、登校時間がかぶった場合は学校は休校を判断できます。
休校の解除は、警察や市の職員のパトロールで安全を確認した上で判断するということです。
宇都宮市では、10日もすべての市立の小中学校の休校が決定しています。日常が戻るのは、いつになるのでしょうか。
(6月9日放送『news zero』より)