「H3」6号機の打ち上げ成功、ロケットは予定の軌道に投入…「危機的状況」から半年ぶり脱却

日本の主力ロケット「H3」6号機が12日午前9時53分頃、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。H3の打ち上げは昨年12月に失敗した8号機以来で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は半年で飛行再開にこぎ着けた。日本は人工衛星などを自力で宇宙に送る手段がない危機的な状況から脱した。
JAXAによると、6号機(全長57メートル)は予定の時刻に打ち上げられ、第1段エンジンと第2段エンジンを順番に着火させて飛行した。機体には大学や企業が開発した超小型衛星6基が搭載されており、最初の2基を正常に分離した。
H3は昨年12月、6号機に先だって打ち上げた8号機で、第2段エンジンの燃焼が予定より早く停止するトラブルが発生して失敗した。その後の調査で衛星を載せる台座の接着部に剥離(はくり)が生じ、強度不足で台座が破損していたことが判明。JAXAは、同じ方法で製造された台座を補修するなどの対策を進めた。
H3の打ち上げを巡っては、1号機も23年3月に失敗したが、原因究明が難航し、2号機成功まで11か月を要した。今回は失敗から飛行再開まで半年で、先代機のH2Aの事例と比べても異例のスピードだった。
H3は、政府の衛星や探査機を優先的に打ち上げる「基幹ロケット」に位置づけられている。JAXAはH3以外の基幹ロケットとして、小型固体燃料ロケット「イプシロンS」も開発中だが、23年と24年にエンジン燃焼試験中の爆発事故が相次いで発生し、実用化のめどは立っていない。今回も失敗すれば基幹ロケットが長期間ゼロになるのは確実だった。
6号機は、液体燃料を使う主エンジン3基で飛行し、固体燃料を使う補助ロケットブースターがない「30形態」と呼ばれるタイプの機体だ。今回が初飛行の試験機で、液体燃料エンジンだけで飛ぶ日本初の大型ロケットとなる。
H3には、すでに打ち上げに成功した主エンジン2基とブースター2本の「22形態」、主エンジン2基とブースター4本の「24形態」があり、今回の成功で3形態全てがそろった。
JAXAと共同開発した三菱重工業は今後、打ち上げ能力や製造コストが異なる3形態のH3を使い、国際的な競争が激化する衛星などの打ち上げ受注ビジネスを拡大させたい考えだ。
今回の打ち上げ成功について、東京大の中谷辰爾(しんじ)教授(推進工学)は「前回の失敗の対策を進めた上で、新しい技術の打ち上げにも成功した。将来につながる打ち上げで、民間を含めた日本の航空宇宙産業にとって大きな成果だ」と評価した。
立命館大の湊宣明教授(宇宙航空マネジメント学)は「まずは一安心だ。今回は8号機のリベンジと新しいシステムへの挑戦で、まさに1歩下がって2歩進むような打ち上げだった」と話した。