徳島県・後藤田正純知事に振り回されて宙に浮く「県立ホール計画」 “工事費半額”の公約が看板倒れで大混乱、設計者の石上純也氏の展覧会も中止に追い込まれ批判高まる

今、徳島県が県立ホールの建設計画をめぐって揺れている。後藤田正純・知事による不当な圧力の疑惑が浮上し、大混乱に陥るなか、県立ホールの設計を担った世界的建築家・石上純也氏が本誌・週刊ポストに覚悟の告発をする。【前後編の前編】
後藤田知事の登場で一変した事態
「私は後藤田知事と喧嘩したいわけではありません。ただ、深い思いがあって書き上げてきた図面が、誰の目にも触れずに葬り去られてしまうのはとても悲しくて苦しい。純粋に展覧会で作品を見てもらいたかった」
そう語るのはヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞など国内外で数々の賞を受賞している世界的な建築家・石上純也氏だ。
徳島県では今、石上氏らのチームが設計した「徳島芸術文化ホール」を主要テーマに6月1日から開催予定だった「石上純也展覧会」が県の要請で中止に追い込まれ、後藤田知事のやり方に批判が高まっている。
発端は県が進めていた同ホール建設計画を知事が中止させたことだ。
徳島県は県内に座席数1500以上のホールがないことから県立ホールの建設を計画。石上氏を中心とする設計者チームがまとめた1800席の大ホールや小ホール(300席)を備えた「徳島芸術文化ホール」のプロポーザル案(企画提案)を採用し、2021年に石上氏や熊谷組などのJVと約194億円で建設する基本協定を結んだ。石上氏らはその後2000枚に及ぶ実施設計図面を書き上げ、工事の見積もりも取って工務店も決まり、2026年9月の開館を目指していた。
後藤田氏の知事当選で事態が一変
ところが、2023年の徳島県知事選で「工事費と工期を半分に抑える」と訴えた後藤田氏が当選すると、事態は一変する。
後藤田知事は石上氏らとの基本協定を残したまま、建設予定地を変更して新たな県立ホールを建設する計画を打ち出したからだ。県は「1500席」の新ホールの概要案をまとめ、2025年に事業費約162億円を上限に設計と施工を一括で行なう事業者の公募を2回行なったが、参加する業者がなかった。
そこで後藤田氏は「建設資材や人件費の高騰」を理由に事業費を見直し、さらに施工業者を外し、「基本・実施設計業務」に限定して今年3月から3回目の公募を行ない、設計事務所5社が応募して審査中だ。
新たな事業費について後藤田氏は今年2月の県議会で「現時点での工事費が200億円に及ぶ」との想定を明らかにしている。「工事費を半分にする」と公約しながら、結局、出てきたのは座席数を減らし、工事費は下がらない案となったのだ。
県は石上氏らとの基本協定を破棄していないため、現在、徳島県には「石上案」と「後藤田案」の2つのホール建設計画があることになる。
そこに起きたのが「石上純也展」中止事件だ。
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【つづきを読む→】徳島県立ホール計画をめぐる混乱に拍車をかける後藤田正純・知事の対応
※週刊ポスト2026年6月26日・7月3日号