高度経済成長期に建設が始まり、最盛期には約1000人が住んでいた千葉県茂原市真名(まんな)地区の市営真名団地が役割を終える。市議会6月定例会に団地を廃止する条例改正案が提案され、18日に可決される見通しだ。外房エリアでも有数の規模の団地だったが、工場の撤退や少子化で3月に住民はゼロとなった。県内では他の人口減少地域でも、老朽化した公営住宅の廃止や集約が進む。(高貝丈滋)
最盛期住民1000人
草が生い茂る敷地に、長屋造りの平屋や2階建ての住宅が同じ方向を向いて整然と並ぶ。どれも壁が黒ずみ、ツタが覆っている。玄関ドアや窓ガラスが壊れているものもある。今は人影がなく、ひっそりとしているが、「50年前の建設当時はにぎやかで、三輪車で敷地内を走る子供たちでいっぱいだった」と近隣住民は振り返る。
真名団地は市中心部から西に約5キロ・メートル離れた田園地帯にある。市建築課によると、約5・6ヘクタールの敷地に1970~75年、73棟300戸が建設された。第2次ベビーブームの新婚家庭や日立製作所茂原工場など市内の工場の従業員らを中心に、最盛期は1000人近い住民がおり、市内では最大の団地だった。
工場閉鎖、撤退
だが、2000年代以降、工場が相次いで閉鎖された。12年にはパナソニック液晶ディスプレイや、東芝コンポーネンツの工場が撤退。昨年には液晶パネル大手「ジャパンディスプレイ」(JDI)が生産を終了した。
人口は2000年の約9万3000人をピークに、現在は8万4617人(今月1日時点)と1万人近く減った。真名団地の住民も減少の一途をたどり、25年度には5世帯が生活するのみとなり、今年3月末には全入居者が退去した。
団地の近くにあった二宮小学校は別の小学校と統合され、21年4月に南に約1・2キロ離れた場所に移転した。最近では、「廃虚団地」「心霊スポット」としてユーチューバーらに取り上げられ、問題にもなっていた。
入居者を相手に15年間、商店を営業していた男性(76)は「新婚世帯が優先的に入居し、子供が多く、にぎやかな団地だった。なくなってしまうのはさみしいし、一つの時代が終わった感じがする」と語った。
市は今後、公募型プロポーザルで選定する民間開発企業と連携し、跡地を産業団地として整備する考えだ。
県営住宅も廃止や集約化
公営住宅の廃止や集約化は、老朽化が著しい千葉県営住宅でも進む。県営住宅は1万9227戸(2024年7月1日時点)あるが、千葉県は人口が減少している地域を中心に1909戸を廃止にするなどし、34年度までに1万8648戸に減らす目標を掲げている。
県は25年に改定した10か年の「県営住宅長寿命化計画」で、今後の県営住宅のあり方について〈1〉地域の需要に応じた供給を行う〈2〉将来的な対象世帯の減少を踏まえる――などの基本方針を定めた。
25年の国勢調査(速報値)で県人口は約625万人となり、1920年の第1回調査以降で初めて減少した。国立社会保障・人口問題研究所が2023年に発表した将来人口の推計では、県人口は50年に約569万人まで落ち込む。
国勢調査では世帯数は増加傾向が続いているが、同研究所は35年の約298万世帯をピークに減少し、50年には約285万世帯になると試算している。県は、県営住宅を「住宅に困窮する低所得者へのセーフティーネット」と位置づけているが、対象世帯は減っていくとみている。
これらの事情を踏まえ、県は築51年以上が経過している県営住宅を中心に、廃止や集約化を計画・検討している。支援が必要な世帯数に比べて公営住宅が特に多い「香取・東総地域」「九十九里地域」などで廃止や集約を進め、維持管理コストの削減を図る方針だ。
集約化では、同じ団地内で使用する棟を限定し、住み替えてもらう「団地内集約」や、別の団地への引っ越しを働きかける。
一方、県は、今後も人口増加が見込まれ、公営住宅の需要がある「東葛・湾岸地域」については、廃止や集約化と並行して建て替えや新規建設を行い、必要な戸数を確保する。新たな県営住宅は、1世帯あたりの人数が減っていることを考慮した住戸規模にしていく方針という。