中傷動画問題により、連日国会で追及を受ける高市早苗・首相。二転三転する首相の答弁や、証拠とされた動画の信憑性に疑義が生じたことに注目が集まっているが、問題の本質はより根深いところにある。取材を進めると、高市首相を取り巻く人脈の構造そのものが、今回の問題にもつながる危うさを孕んでいることが浮かび上がってきた――。【前後編の前編】
問題の本質は”サナエビジネス”の構造
「面識はない」と総裁選の中傷動画作成への関与を否定していた高市首相がついに「可能性は否定しない」と答弁を変えた。
首相の第1秘書・木下剛志氏が中傷動画を作成したとされる松井健氏とオンライン会議で同席したかを問われて、こんな言い方をした。
「秘書に確認したところ、(オンライン会議の)参加者全員を覚えているわけではないため、その可能性は否定しないものの、(中略)秘書としてははっきりとした記憶はなく、直接お会いしたこともないため、面識がない方という認識だと報告を受けている」
最初は疑惑を完全否定していた高市首相が状況が悪くなると発言を微妙に変えていく一方、証拠として報じられた中傷動画には作成時期について疑問も呈されるなど、何が本当の問題かが見えにくくなっている。
問題の本質はむしろ、高市事務所の周辺で展開される”サナエビジネス”の構造そのものにあるのではないか。
高市陣営は自民党総裁選や総選挙で国民・党員に支持を広げるためにSNSなどネットを利用した選挙戦術を積極的に展開。高市ブームが起きると、人気に便乗しようという人脈が群がり、高市事務所側も十分なチェックもないまま人気アップのためにそれを認めたり、事実上黙認してきた構図が浮かび上がってくる。
今回、中傷動画の作成を告白し渦中の人となっているneu社代表の松井氏もその1人。松井氏が関わったビジネスは高市首相の名前を冠した仮想通貨「SANAE TOKEN」(サナエトークン)だ。
サナエトークンはネットのコミュニティサイトが今年2月に開始した「Japan is Backプロジェクト」で登場した仮想通貨の一種。高市首相の支援組織「チームサナエ」はXの公認アカウントで「チームサナエはこの取り組みに共感」などと投稿していた(後に削除)。
ところが、サナエトークンの発行者が金融庁の無届け業者だった疑いが浮上。高市首相が自身のXで「存じ上げないし、承認を与えたこともない」と関係を全面否定すると高騰していたトークンが大暴落する事態に。主催者側が謝罪してプロジェクトは中止された。