築100年を超え、原爆の被害を後世に伝える長崎市の「被爆建造物等」にも指定されている長崎銀行の旧本店ビル(長崎市栄町)の解体工事が始まった。(西山怜花)
同行によると、旧本店ビルは前身である「長崎無尽」の社屋として1924年(大正13年)に完成した。3階建ての鉄筋コンクリートで、増築が重ねられているが、洋風の外壁に瓦屋根が残る。老朽化を理由に昨年4月に建て替えの計画が発表され、仮店舗に移転。工期は今年6月からで、建物の周囲には工事用の囲いが設けられた。解体後の計画は「検討中」としている。
市が発行した記録などによると、同ビルは爆心地から3・3キロで、当時は爆風で窓ガラスが破損するなどした。戦後に撮影された写真で焼け跡に残る様子が確認できる。現在は被爆の痕跡が確認できないDランクに分類されている。重要度に応じてA~Dランクに分けられている被爆建造物等は、これまで計125件のうち26件が、老朽化を理由に取り壊されるなどした。
被爆建造物等の研究をしている長崎総合科学大工学部の李桓教授は「街の風景に溶け込んで後世に原爆の歴史を伝える存在として、被爆建造物等は意義深い」と指摘。今回の解体は残念とした上で、「ランクが低い場合、保存するかどうかの判断は所有者にゆだねられており、課題がある」と述べた。