2022年7月8日に凶弾に倒れ、他界した安倍晋三元首相の回顧展が4日、東京ビッグサイトTFTホール500(東京都江東区有明)で始まった。安倍元首相の息づかいが伝わる100点ほどの遺品が並んだ。初日から多くの来場者が列を作り、世界中で愛された安倍元首相の人柄をしのんだ。
会場に入ると「夢を、終わらせてはならない。」と大きなパネルに書かれ、笑顔を見せる安倍元首相の写真が出迎える。幼少期の少しはにかんだ様子の写真も目を引く。
安倍元首相の面影をしのぶミニシアターのそばにある壁面では、2013年元日の年頭所感にあった「日本の未来を担う子供たちは、国の一番の宝です」といった言葉の数々や、足跡を紹介していた。
15年に安倍元首相率いる自民党などが結んだ「平和安全法制についての合意書」や、20年に自衛隊最高指揮官を退任したときのバッジなどもあった。
歴代の宰相で最長となる在職日数3188日、生前の外国訪問先は196の国・地域を数える。その間の数々の外交実績などを、年譜を頼りにたどりながらコーナーを進むと、目に飛び込んできたのは街頭演説中に銃撃を受け、割れた衆院議員の記章や最期に握っていたマイク、はいていた黒い革靴。隣には盟友だった自民党の麻生太郎元首相が葬儀で読んだ弔辞が涙を誘う。いずれも必見だ。
高市首相もメッセージ寄せる
高市早苗首相は回顧展のため、会場に特別メッセージを寄せた。その一節には、こうあった。
「世界中のどこに行っても、また、日本を訪れる世界の首脳たちと話しても、安倍総理が日本国と日本人のために残してくれたご功績の大きさを実感する日々であります」
会場内には幼少期に撮った8ミリフィルム、東京・成蹊小学校に通っていたころの日記もあった。
19年5月、来日したトランプ米大統領を招いた東京・六本木の炉端焼きの名札や、ゴルフキャップ、2人並んでの自撮り写真などもあった。
安倍元首相はかつて、国会では厚労族として知られ、難病対策に尽力した。難病を抱える福島県の少女から届いた1通の手紙をきっかけに、文通を8年間続けていた。会場の壁面には、そんな手紙の一端も展示されていた。文面からは、心温かい人間像が伝わってきた。
座右の銘「至誠」
会場にはこのほか、国会の衆院議員会館で執務していたころ、実際に使っていた机やいすがあった。かつて読んでいた数々の書物の棚が再現されていた。
郷里・山口県の萩市にある松陰神社に安倍元首相が揮ごうし、奉納した直筆の座右の銘「至誠」も展示されていた。こちらは、「誠心誠意で尽くせば、心を動かされない人はいない」という意味だ。
会場の出口付近には、在りし日の安倍元首相が愛妻の昭恵夫人とお付き合いをしていたころの懐かしい写真や、ちゃめっ気たっぷりに変顔をした写真などをコンパクト化し、まとめたパネルもあった。
奈良でも回顧展開催へ
回顧展は「安倍晋三デジタルミュージアムプロジェクト」が主催し、12日まで開かれている。いずれも午前11時から午後7時半まで。17~19日には、会場を奈良県コンベンションセンター(奈良市三条大路)に移して開かれる。
回顧展の主催メンバーで、会社経営の森友由さんは「回顧展からは安倍元首相の人間性がよく伝わってくる。来場される皆さんには展示品からそれぞれに感じ取っていただき、ご自身の行動に結び付けていっていただけたらありがたいです」と語った。(村上智博)