障害者事業所への自治体の運営指導、一昨年度の目標達成1割余り…不正受給32億円超

自治体が障害福祉サービス事業所の運営について適切かどうか確認する「運営指導」の実施率が低迷している。事業所を所管する自治体のうち、2024年度に指導を実施した事業所の割合が国の目標値に達したのは、1割余りにとどまった。全く実施しなかった自治体もあり、不適切な運営が行われていても目が届いていない可能性がある。
厚生労働省が各自治体の運営指導の実施率をまとめた資料から判明した。自治体ごとの実施率の全容が明らかになるのは初めて。厚労省は実施マニュアル策定などを進め、運営指導の実施を促している。
障害福祉サービス事業所については、指定権限を持つ都道府県と政令指定都市、中核市の計129自治体が、障害者総合支援法などに基づき運営指導を行う。運営指導では、半日~数日かけて資料確認や聴取などを行い、人員配置や報酬などが適切かを点検する。
厚労省は各自治体に、3年に1度は事業所を運営指導できるよう、管内の33%以上の事業所への実施を通知で求めている。今年3月までに厚労省がまとめた24年度の129自治体の実施率で、33%以上になったのは最も高い46・3%の岐阜市など17県市にとどまった。平均は16・3%だった。
10%未満の自治体は24都府県市あり、新潟市0%、神奈川県0・3%、東京都0・8%などとなった。新潟市は「不正の疑いが判明した事業所などへの対応を優先し、運営指導に手が回らなかった」としている。
厚労省などによると、障害福祉サービス事業所は全国に約17万8000施設あり、この5年間で約2割増加した。給付金目当てで参入する法人もあり、利用者数水増しなどの不正受給も相次ぐ。24年度の不正受給額は計32億円超に上った。
運営指導が進まない背景には自治体の人員や体制が事業所の増加に追いつかないことがあり、特に事業所数の多い東京などの自治体で対応しきれなくなっている。指導で事業所の不正が発覚した例もあるため、厚労省の担当者は「自治体には運営指導の確実な実施を求めたい」と話す。
障害福祉に詳しい関西福祉大の谷口泰司教授は「行政の定期的な運営指導がなければ事業者などへの監視が行き届かず、不正が放置されかねない。各自治体が3年に1度以上は指導できる体制を整備するため、事業者数の制限も検討すべきだ」と話している。

◆障害福祉サービス事業所=障害者らの就労や生活を支援する施設で、「就労継続支援事業所」や「放課後等デイサービス」などがある。主に民間事業者が運営し、申請に基づき都道府県などが指定する。事業所には国や自治体から給付金が支払われる。