宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、探査機「はやぶさ2」が5日に成功させた小惑星「トリフネ」の通過観測(フライバイ)の際、至近距離から撮影した写真を公開した。最接近の予定時刻1秒前に撮影され、距離は数百メートルとみられるが、正確な距離は今後の解析で明らかにする。
写真は表面の岩の分布まで分かる詳細さで、小惑星の成因を知る手掛かりになる。至近距離を通過させる制御技術は、衝突の恐れがある小惑星から地球を守る「プラネタリー・ディフェンス(地球防衛)」にも役立つと期待される。
記者会見したJAXAの三桝裕也・はやぶさ2拡張ミッションチーム長は「画像を見た瞬間は衝撃的だった。フライバイの一瞬で、こんなにいい写真が撮れるのかと、感動しかなかった」と述べた。
トリフネは初代「はやぶさ」が試料を持ち帰った小惑星「イトカワ」と似た岩石質の小惑星。長径800メートル程度と推定され、現在は地球から約1億キロ離れている。公開された画像によると、雪だるまのような形状で、表面に多数の岩が点在。二つの小さな天体が衝突、合体して生まれた可能性があるという。
はやぶさ2は5日午後6時半(日本時間)ごろ、トリフネ表面から数百メートルを、秒速5キロの相対速度で通過。画像撮影のほか、赤外線カメラや分光計など3機器によるデータ取得にも成功した。データは順次、地上に送信するという。
2014年に打ち上げられたはやぶさ2は、小惑星「りゅうぐう」で砂などを採取し、20年12月に試料を納めたカプセルを地球に投下。トリフネのフライバイ探査を経て、31年7月に新たな探査先の小惑星「1998 KY26」への到着を目指す「拡張ミッション」を継続している。 [時事通信社]