「復讐だけしたい」22歳女性配信者を生放送中に刺殺。400万円貢いだ44歳男が“口座残高161円”に絶望、暴走した理由

「高野いないと生きていけない」 そう言っていた女性は殺害された。 昨年3月、東京・高田馬場の路上で動画配信中だった女性が、男に襲撃され、刺殺された事件。殺人などの罪に問われた高野健一被告(44)の初公判が今年7月1日、東京地裁(井戸俊一裁判長)で開かれた。 前編では、検察側の冒頭陳述をもとに、身の毛もよだつ残忍な犯行に至った経緯などを詳報する。◆初公判で起訴内容を認めた高野被告の様子「間違いありません。本当に申し訳ございませんでした」 黒色のスーツに、紺色のネクタイ姿で入廷してきた高野被告。法廷中央にある証言席に立ち、目の前の裁判官らの方を向いて、はっきりと起訴内容を認めた。法廷を一瞥すると、傍聴席からの視線を気にするように顔を下にそむけた。 勾留中だからか、送検時のニュース映像と比べて、一回りほど痩せ、白髪が目立っていた頭はスキンヘッドになっていた。淡々と進行する自身の裁判に、終始緊張でこわばった表情だった。 そんな高野被告は、起訴状によると、2025年3月11日の午前9時50分頃、東京・高田馬場の路上で佐藤愛里さん(当時22歳)の顔面や首などを、ナイフ(刃体の長さ約12.4センチ)で刺して殺害。さらに、犯行に使用したナイフを含む2本を所持した、殺人と銃刀法違反で起訴されている。◆生配信から始まった“推し”とのゆがんだ関係 罪状認否のあと、検察側の冒頭陳述がはじまった。なぜ、佐藤さんが高野被告と知り合い、殺害されてしまったのか。そこには“推し配信者”と一線を越えた、ゆがんだ関係が見えてきた。 まず、二人の関係性について紐解く。佐藤さんは山形県で出生した。2021年頃から、「最上あい」と名乗って、動画配信サイト「ふわっち」で活動していた。<高野被告は、2021年12月頃から翌22年1月頃、「ふわっち」で佐藤さんの動画を見て好意を抱くようになった。高野被告は、佐藤さんに連絡を取り、LINEを交換して直接連絡を取るようになった>(検察側冒頭陳述の要旨・以下同) 佐藤さんは「最上あい」という名で配信活動をしていた。その生配信を視聴し、好意を抱いた高野被告。その愛情を金銭換算するかのように、推しに貢ぎはじめた。<高野被告はLINE上で「好き」とメッセージを度々送っていた。また、高野被告は合計約163万円の配信の「アイテム」を払った> この「アイテム」とは、視聴者がライブ配信者に贈る「投げ銭」のこと。配信者はその「アイテム」を金銭に換えることができ、獲得総数によって配信者はランクづけされている。