臓器有償あっせん、1年弱で4人の移植に関与…手数料・謝礼などの名目で4500万円受領か

カンボジアでの臓器移植を有償であっせんしたとして元NPO法人理事長らが臓器移植法違反容疑で逮捕された事件で、元理事長の菊池仁達(ひろみち)容疑者(66)らが運営する一般社団法人「国際医療相談室」が、昨年3月から今年1月に少なくとも患者4人の現地での移植に関わり、移植費用とは別に約4500万円を受け取っていたことが捜査関係者への取材で分かった。
菊池容疑者は、NPO法人「難病患者支援の会」(解散)理事長だった2023年2月、海外移植を無許可であっせんしたとする同法違反容疑で警視庁に逮捕され、初公判後の同7月に保釈された。24年3月に設立された相談室の実質的運営者だったとみられている。
捜査関係者によると、菊池容疑者は保釈後、移植に関する活動を再開。相談室を通じて、昨年3月に1人の患者がカンボジアに渡った。その後も別の患者が渡航したとみられ、菊池容疑者は昨年5月、自身のブログで「今月も2名が海外での移植手術を終えて帰国されます」と紹介していた。
同庁は、このブログが記載された頃から捜査を開始。菊池容疑者が実刑判決を受けて収容されるまで1年足らずの間に、相談室を通じて同国で生体腎移植を受けた患者が少なくとも4人いることを確認した。
移植の費用は、患者が現地で中国人の執刀医側に支払っており、都内の70歳代男性のケースでは約2500万円だった。
これとは別に患者らは相談室に事務手数料として約300万円を支払い、「外科医謝礼」などとして菊池容疑者に500万~900万円程度を振り込んでいたという。この総額は計約4500万円に上った。
捜査では相談室の役割分担も判明した。患者の相談電話は、代表理事の安藤貴樹容疑者(66)の携帯電話につながるように設定されていた。安藤容疑者は患者を菊池容疑者に引き継ぎ、菊池容疑者が面談して勧誘していた。現地には、菊池容疑者の長男・充容疑者(42)が同行していた。
患者は渡航の意思を固めると、相談室の紹介で大阪市内の医院を受診し、移植を受けるのに必要な血液検査を受けていた。院長は執刀医への紹介状を作成して相談室に送付。相談室から中国人コーディネーターを通じて、医師団に紹介状が渡っていたという。
菊池容疑者ら3人は、都内の70歳代男性に1236万円を振り込ませた上、カンボジアの病院で生体腎移植手術を受けさせたとして、警視庁に7日逮捕された。
「不透明な海外移植、規制を」
菊池容疑者が理事長を務めていた「難病患者支援の会」のあっせんで海外に渡航した患者らからは、安全な移植体制の実現を求める声などが聞かれた。
関西地方の女性(62)は2021年12月に中央アジア・キルギスで生体腎移植を受けた後、一時重篤となった。移植された腎臓は機能せず、帰国後すぐに摘出した。女性は現在も週3回の透析治療を続ける。感染症にかかりやすく、入退院を繰り返しており、「患者の命が危険にさらされるようなことは二度と起きてほしくない。不透明な団体の取り締まりを強化してほしい」と語った。
同時期にキルギスに渡ったものの、女性の体調悪化で腎移植を受けずに帰国した会社役員の男性(57)も透析治療を続けている。「患者の健康を何だと思っているのか」と憤った。
心臓移植を必要とする子供らを支援するNPO法人「トリオ・ジャパン」代表の青山竜馬さん(46)は、国内の病院で子供が心臓移植の待機中に亡くなっていることに触れ、「政府や国会は、不透明な海外移植を規制し、国内でも十分に移植を受けられるよう、法制度を整備してほしい」と訴えた。