2024年10月、北海道江別市の公園で当時20歳の大学生、長谷知哉さんが男女6人の集団で暴行を加えられ死亡した強盗致死事件。 主犯格とされる当時18歳でアルバイトだった男(特定少年)と、当時17歳の少年の裁判員裁判で、14日は証人尋問が行われ、共犯の川村葉音被告(21)が証人として出廷しました。 法廷には、傍聴席から川村被告が見えないよう、間仕切りが置かれました。
検察側の証人尋問では、最初に検察は「控訴審が控えているので、刑事処罰をうける恐れのある証言は拒絶することができます」と述べてから質問が始まりました。
午前は、共犯者や被害者と知り合った経緯や、事件前の八木原亜麻被告(21)との会話、事件当日の行動についての質問が検察側からありました。
以下は、川村被告が証言した主な内容です。
「彼氏に『1年後に別れる』と言われたら、ハオならどうする」
八木原亜麻被告は(私を)「アマ」と呼んでいた。地元の塾で一緒だった。好きな人についての話は、自分はしなかったが、八木原被告からは結構あった。
当時17歳のアルバイト少年との交際について、名前からあだ名でよんでいた。交際開始3か月くらいから半同棲だった。
主犯格の男とは事件の約1か月前に知り合い、1週間に4日程度会って、主にドライブなどをしていた。当時18歳の高校生だった男とは、主犯格の男と出会って2日後に男が連れてきて、事件の日に会ったのが2回目だった。
長谷さんと八木原被告との交際を知ったのは事件の約1か月前で、事件の2週間前に、北海道岩見沢市のレジャー施設で2人と偶然会い、長谷さんと高校時代の話をしたあと、別々に分かれて遊んだ。
事件までの流れについて、10月24日に(一緒に勤務していた)コンビニでのアルバイト中、八木原被告から「彼氏に『1年後に別れる』と言われたら、ハオならどうする」と言われ、「自分が言われたらすぐ別れる」と言った。
八木原被告が彼氏(長谷さん)と「別れよう」という内容をLINEでやりとりする場面を見たことがあり、八木原被告のスマートフォンで川村被告がメッセージを送った時もあった。
10月25日に八木原被告の携帯で3人で通話した際「荷物が長谷さんの家にある、夜の10時に長谷さんが八木原被告のバイト先に届けに行く」と話し、荷物を渡したら2人はお別れだと思っていた。
主犯格の男、当時18歳の高校生だった男、当時17歳のアルバイトの少年、当時16歳の少年の4人で、川村被告の車でドライブをした。
「友達が彼氏とトラブルになっているらしい」
長谷さんが午後10時に八木原被告のところにくると言っていたので、無事に会えたか電話で聞こうとした。最初は出なかったがすぐに折り返しが来て、八木原被告は「長谷さんがバイト先のコンビニに入ってこない、謝ってこない」と言われたので「あとは2人で話し合いな」と電話を切った。
電話を切った後に、主犯格の男から「何かあった?」と聞かれたので、長谷さんと八木原被告について「友達が彼氏とトラブルになっているらしい」と説明した。
主犯格の男に「そいつに電話かけて」と言われ、八木原被告にかけたあとに「彼氏にかわれ」と指示。内容はあまり聞いていなかったが、主犯格の男が「1回話すべ、そこで待ってろ」と言っていたのは聞こえた。
江別に行った理由は、主犯格の男が「江別にいくぞ」とみんなに言ったから。
川村被告の車を主犯格の男が運転した。メーターは見ていないが、すごいスピードだった。
車の中で主犯格の男から「どんなやつ?」「何してる?」などを聞かれたので、「(主犯格の男)より身長低い」「もしかしたらボクシングやってるかも」と答えた。八木原被告から事件の近いころに、知人の男性について、ボクシングの大会で優勝したと聞いていたので勘違いした。
江別市内の八木原被告のアルバイト先のコンビニに向かったが、当時17歳の少年が「防犯カメラがどうのこうの」と言ったので、近くの公園にした。
「なんで1年後に別れる?」
公園で長谷さんと合流し、「アマに謝った?」と聞くと、長谷さんは「謝りました」と答えた。八木原被告は川村被告に「基本的に謝っていなかったから」と言っていた。
主犯格の男は長谷さんに「なんで1年後に別れる?」と言ってから暴力を始めた。
最初は主犯格の男が左足でお腹を回し蹴りのように蹴っていた。長谷さんはお腹をおさえていた。その後、主犯格の男は手をグーにして長谷さんの顔を右、左と2回殴っていた。
「いたい、ああ」
主犯格の男が長谷さんのお腹を蹴ったのを見て驚き、少し離れると、暗くて様子があまり見えなかったが、音が聞こえていたので暴行をしていたのはわかった。
長谷さんは「いたい、ああ」などと言っていた。
(裁判では、金銭を要求するまでを第1暴行と呼んでいる) それまでに暴行をした。長谷さんが近づいてくる場面でいらっとして、倒れている胸辺りを2回踏んだ。主犯格の男が蹴って倒したのだと思う。
自分が「ふざけんな」と被害者に言ったあたりから、八木原被告は、少し離れていたところですごく笑っていた。他に暴力はしていない。
(裁判での「第2暴行」について) 主犯格の男は、記憶では、長谷さんが「本当に申し訳ございません」と土下座した頭を6~7回、踏みつけた。土下座をしたのは、長谷さんが土下座をせずに「申し訳なかった」と言ったので、主犯格の男が「土下座しろや」と言ったから。
コンビニにタバコを買いに行く際、それぞれが欲しい銘柄を言って主犯格の男がまとめて指示をしてきた。公園に戻った車の中で、八木原被告が弁当を食べた。
公園に戻った時、長谷さんは階段の近くの草の上で正座していた。服は着ていた。
「許す気ない、もっとやれ」
主犯格の男と当時18歳の高校生だった男、17歳のアルバイトだった少年、そして16歳の少年は草むらの近くで立っていた。その時に暴力は無かった。
八木原被告が戻ってきたあと、「もう終わる前提」で主犯格の男が「謝れ」と言って被害者は土下座して謝罪したが、八木原被告は「許す気ない、もっとやれ」と言い、暴行が続いた。(=裁判での「第3暴行」の段階へ)
主犯格の男と17歳と16歳の少年が囲んで何かをしていた。倒れていて、囲んで蹴るような音が聞こえた。
その後、18歳の高校生だった男が「ライダーキック」をした。男はそれまでは暴行してなかったが、主犯格の男が「やんないの?」と言われて、坂を登って飛び蹴りをした。
笑っていた
その時、主犯格の男たちは、長谷さんが背中を向けるように腕か服をつかんで押さえていた。
右に主犯格の男、17歳の少年がいた。長谷さんは飛び蹴りをされて前に倒れた。
主犯格の男が「動画撮りたいからもう1回やって」と言った。16歳の少年が動画を撮った。
私(川村被告)と八木原被告は、見える範囲にいた。八木原被告は笑っていた。
その後、私が暴行をした。背中や腰を踏んだ。長谷さんが私の方に近づいてきて、主犯格の男が蹴り倒し、「やれ」と言ったのでやった。
長谷さんが17歳の少年に近づいて手に触れたので、私が暴行をした。「なんで手に触れてんの?」と胸を2回踏んだ。その後、17歳少年が馬乗りになって殴り始めた。手はグーの形だった。右左交互に殴った。1分くらい続けていた。
その後、17歳の少年が腕をつかみ、20~30メートルくらい遊歩道の部分を引きずった。
その後、主犯格の男が「服脱がすべ、(17歳少年の名前)やって」と言って少年が服を脱がせた。私は途中まで見た。長谷さんがジャンパーを着ていたので、チャックを下ろして脱がせ、中の服、シャツを引っ張って上半身を裸にさせた。その後、靴、靴下を脱がせて主犯格の男が「下も脱がせ」と言った。
16歳の少年が「女の子は見ない方がいい」と言ったので、18歳の高校生だった男の後ろへ行った。
その後、「あつっ」と聞こえたので、見てみると主犯格の男が長谷さんの肩にライターを当てていた。
「許す気ねえ」
長谷さんがクレジットカードをなくしたと言っていたので、主犯格の男に「探せ」と言われ、探した。長谷さんは、白い袋を17歳の少年と持って、少年が階段近くに連れて行った。その時、服は着ていなかった。主犯格の男が「こういうことされるの初めてだよね?」と言うと、長谷さんは「初めてです」と会話していた。
その後、長谷さんから八木原被告に「本当に申し訳ございませんでした」と土下座があった。服は着ていなかった。八木原被告は「許す気ねえ」と言っていた。16歳少年が撮影していた。
(長谷さんが服を着ているときまで戻る)
馬乗りのほかの暴行としては、長谷さんが柵につかまっていて、17歳の少年が引き離そうとしたができず、主犯格の男が引きはがそうとして吹っ飛ばしていた。
遊歩道に倒れて頭をぶつけたと思う。「ドン」という音が聞こえた。
仰向けの長谷さんに主犯格の男と17歳の少年が挟み撃ちのような形になって交互に顔のあたりを蹴っていた。交互に何回4回蹴った。蹴った勢いで顔が反対方向を向いた。脳にすごいダメージがあったと思った。
「逃げる、逃げる」
第3暴行中に被害者が逃げようとしたことは何度かあった。1つは隙を狙って坂の上に上り逃げようとしたが17歳少年が追いかけて、坂の下に戻そうとした。体をつかんで落とすように、倒れてはいないが坂で走るように降りることになった。
自分や17歳の少年が気づかないうちに逃げようとして、八木原被告が「逃げる、逃げる」と言って17歳の少年が追いかけて坂の下におろして暴行を加えた。主犯格の男が追いかけてたぶん足を蹴った。
(長谷さんが裸で謝罪の謝罪後)八木原被告を家に送った。主犯格の男が「もう送ってっていいわ」と言ったので。
暴行の時の八木原被告は、ずっと笑っていた。
第3暴行の途中に主犯格の男が、私に「疲れた」「まだやんないとダメ?」と言ってきて、私が「アマに言うね」と確認したが、八木原被告は「許す気ないから、もっとやって」と言った。それは主犯格の男も聞いていた。
事件以降のLINEでのやり取りについて
(事件後・主犯格の男が「あまヤキだな」と言っていたのは)八木原被告が自分たちだけ暴行をしたと警察に言おうとしていた。
(17歳の少年に「よく余裕でいれるよね」と言ったのは)17歳の少年と主犯格の男が長谷さんが亡くなった場所と(発見された場所が)違うことに関して、「草が濡れてたんじゃね、だから動いたんじゃね」と笑っていた。
川村被告は終始、はっきりした声で…
検察側の質問の最後に「第1審が終わって控訴審を待っている状態で、どうして今回話してくれたのですか」と問われると、川村被告は「事件に向き合っていきたいという気持ちがあったので話しました」と、検察からの質問に終始、はっきりした声で答えていました。
川村被告の証人尋問は、14日午後も行われています。
起訴状によりますと、主犯格とされる当時18歳のアルバイトだった男は、当時17歳の少年ら男女5人と共謀し、2024年10月25日から26日にかけて、長谷知哉さん(当時20)の顔や腹部を多数殴る蹴るなど暴行。
さらに「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」などと脅迫して暴行を加え、現金やカードなどを奪い、長谷さんを外傷性ショックで死亡させたうえ、奪ったクレジットカードでたばこなどをだまし取ったほか、キャッシュカードで現金12万7000円を引き出したなどとして、強盗致死や詐欺、窃盗などの罪に問われています。
判決は8月7日に言い渡される予定です。
おことわり HBCでは、特定少年の被告を実名で報じるかどうか、事件ごとに判断しています。今回の事件は、1人の大学生の命が失われた結果の重大性、社会的影響の大きさなどを総合的に判断した結果、地上波テレビ放送では実名で報じることにしました。なお、デジタル配信の記事は、半永久的に残るインターネットの特性を考慮して匿名で報じています。