この夏も、厳しい暑さへの備えが欠かせません。
【イラストで解説】スーパーエルニーニョと猛暑
梅雨明け早々、体温を超える危険な暑さに見舞われています。私たちもこれまで以上に万全な暑さ対策をする必要があります。
今年、新たに「酷暑日」という予報用語が加わりました。最高気温40℃以上の日を表す言葉で、命に関わる危険な暑さに対して、一層強い警戒を呼びかけるためです。近年は40℃以上の日も珍しくなく、昨年は観測された回数が歴代最多で、全国で30回にのぼりました。
今年は関東甲信と東海が梅雨明けした翌日、7月21日に八幡(岐阜県郡上市)、多治見(岐阜県)、豊田(愛知県)で最高気温40℃以上が観測され、初めての「酷暑日」となりました。
■7~8月は平年より高い
気象庁が発表した1か月予報によると、7月下旬は全国的に平年より気温が高くなりそうです。また、3か月予報によると、8月は北日本は平年並みか高く、東日本から沖縄・奄美は平年より高い見込みです。平年並みだとしても暑い時期ですが、それを上回る気温になることが予想されています。
一方、9月は全国的に平年並みでしょう。
■暑さ対策で命を守る
熱中症にならないために、まず心がけたいのは、こまめな水分補給です。のどが渇いたと感じたときには、すでに脱水状態になっていることがあるので、30分おきなど時間を決めて水分を摂ってください。
汗をたくさんかく日は水だけでなく、塩分やミネラルも適度に補給しましょう。こまめに休憩をとったり、通気性が良いなどの涼しい服を選んだりすることも大切です。
屋外では帽子や日傘を活用し、できるだけ日陰を選んで歩きましょう。外出時間を早朝や夜など気温が低い時間帯にずらすのも有効です。
また、地面から照り返す熱の影響で、身長が低い子どもやペットは大人より暑さを感じやすいです。環境省の「熱中症保護マニュアル」によると、大人の顔の付近の高さ(150cm)の温度が32℃のとき、小さな子どもの顔付近の高さ(50cm)は35℃、さらに低いペットは36℃で、大人と比べて3~4℃くらい高いといえます。
室内での油断も禁物です。熱中症は屋内で発生するケースも多いですが、特に夜間は「まだ大丈夫」とエアコンの使用を控えてしまう方が少なくありません。無理をせずエアコンを使いましょう。
運動や作業をするときには、事前に体を冷やす「プレクーリング」もおすすめです。冷たい飲み物やアイススラリー(氷水)を飲んだり、ネッククーラーや手のひら冷却グローブを使ったりして、体の内側と外側を冷やしておくと体温の上昇が緩やかになり、熱中症を予防できます。
■スーパーエルニーニョと猛暑
現在、エルニーニョ現象が発生しているとみられます。
エルニーニョ現象とは、貿易風が弱まることによって、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖にかけての海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続くことです。世界中の異常気象の要因になりうると考えられています。
「エルニーニョ現象のとき、日本は冷夏になる」と聞いたことがある方もいるでしょう。しかし、前述のとおり今年の夏は猛暑になる予想です。
上図の右下に注目すると、日付変更線付近の海面水温が平年より高く、積乱雲の発生が多いと予想されてますが、これがまさにエルニーニョ現象です。
エルニーニョ現象のときは積乱雲の発生が多い場所がずれるため、台風の発生位置が平年よりも日本から南東に離れる傾向があります。日本に近づくまでに、暖かい海の上を長く進むことになるため、台風が発達しやすくなるといえるのです。
また、エルニーニョ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖にかけての海面水温が平年より0.5℃以上高い状態ですが、今回は平年より極端に高い(概ね2℃以上)「スーパーエルニーニョ」になる可能性もあります。
WMO(世界気象機関)は海洋熱波が起きていることに注目し、これにより世界の平均気温はかなり上昇すると警戒しています。エルニーニョ現象に加えて、地球温暖化の影響で大気全体の温度が高いため、8月にかけて暑くなりそうです。
■ゲリラ豪雨の前兆を見逃さない
強い日差しで地面が熱せられると、上昇気流が起こって雲ができます。上空に寒気が流れ込んだり風がぶつかったりして積乱雲が一気に発達し、天気が急変して強雨や雷雨となるのが、いわゆる「ゲリラ豪雨」です。ゲリラ豪雨は都心部より、山沿いや内陸の方が発生しやすいですが、近年は都心部でも多い印象があるのではないでしょうか。
近年は、気温の上昇によって大気中に含むことのできる水蒸気の量が増えているため、バケツをひっくり返したように雨が降る、1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」が観測されることも珍しくなくなっています。短時間に大雨となることで、川が一気に増水する、排水が追いつかずに道路が冠水し、地下施設が浸水することもあります。
急な雨や雷雨をもたらす積乱雲が近づくサインは、真っ黒な雲が近づく、遠くで雷の音が聞こえる、急に冷たい風が吹くことです。
特にゴルフやキャンプ、登山などの屋外レジャーでは、雨が降り始める前に行動することが大切です。積乱雲が近づくサインに加えて、スマホで気象庁の雨雲の動きや雨雲レーダーも確認し、発達した雨雲が近づきそうな場合は、早めに頑丈な建物の中や車に避難してください。
■新しくなった防災気象情報
今年、防災気象情報が新しくなりました。
情報の種類が変わったことに加えて、危険度が段階的に伝えられるようになっています。
5つのレベルがあり、「レベル5」はすでに災害が発生していて命の危険が迫っており、避難所へ向かうことも危ないような段階です。「レベル4」はいつ災害が発生してもおかしくないため全員が避難をする段階、「レベル3」は高齢者など避難に時間がかかる人に早めに呼びかける段階です。
避難のタイミングを逃さないようにしてください。
暑さや大雨に備えながら、この夏を安全に元気に過ごしましょう。
(久保井 朝美:キャスター、気象予報士、防災士)