側近がみる天皇陛下発言の背景 皇室典範改正議論が進む中、異例の警鐘

皇族数確保策を巡り、天皇陛下は「国民の理解が得られるものとなることを望む」との考えを示された。皇室典範改正への動きが進む中、天皇の政治的関与を禁じる憲法に抵触しかねない異例の発言に至るには、宮内庁との慎重なすり合わせがうかがえる。
側近は「個別の政策の是非ではなく、拙速な議論への警鐘」と受け止めている。(共同通信=志津光宏、黒木和磨、浜田直毅)
▽拝察
陛下がオランダ・ベルギー訪問前の記者会見に臨んだのは6月11日午後4時だった。前日10日に皇族数確保策に関する「立法府の総意」が決定されたタイミングだった。陛下は事前に出された質問に答えてこう述べる。
「皇族数の確保の在り方についての議論においても、国民の理解が得られるものとなることを望んでおります」
宮内庁関係者によると、陛下が会見で話す内容は数日前、黒田武一郎長官らごく限られた幹部が目を通していた。
陛下に先立つ午後2時からの会見で、黒田長官は「拝察」として「国民の総意に基づくお立場から、国民の理解や納得を得られるものとなるように願われているのではないか」と露払いし、陛下の発言に憲法上問題がないことを宮内庁が担保していると暗に示した。
▽波紋
皇室制度改革に関し、陛下は過去の会見で「制度に関わる事項については、私から言及することは控えたい」と一貫して述べてきた。今回「国民の理解」を加えて踏み込んだことに波紋が広がった。
共同通信の直近の世論調査によると、皇族数確保策2案のうち、女性皇族が結婚後も身分を保持する案は賛成72%、反対19%。旧宮家の男系男子を養子に迎える案は賛成44%、反対45%と拮抗している。
陛下の発言はこうした状況に対する懸念とも解釈されかねないが、側近は「幅のある受け止めがあって良い」とし、反応は想定内と明かす。
その上で「皇室は国民の信頼を損なっては存続し得ない。多様な意見がある中で手続きを踏み、議論を重ねて理解を得ることが重要だとの思いを込められたのだろう」と陛下の胸中を推し量った。