屋根をつたい懸命の救助、瓦の破片で窓破り男性の腕をつかんで引きずり出す…近隣男性「助けたい一心だった」

今回の地震で全・半壊などの被害が出た熊本県内の住宅は、現状で1500棟超に上る。倒壊した住宅に取り残された住民もおり、近隣住民らによる懸命の救助活動が行われた。
「家がつぶれてっぞー」
地震発生から間もない28日午後5時頃、帰宅したばかりの同県八代市の会社員高山浩さん(39)は、外から叫ぶ声が聞こえたためすぐに飛び出し、声がした方に走った。
同市を襲った震度6強の揺れで、近くの民家が玄関の天井が地面につくまで大きく傾き、崩れていた。近づくと物音がした。
「誰かいる」。高山さんは同様に駆け付けた近くの介護施設の男性職員と2人で屋根をつたい、2階部分からのぞくと、せり上がった床と家財の隙間に住人の60歳代男性がかがんだ状態で取り残されていた。高山さんは屋根瓦の破片で窓を破り、2人で男性の腕をつかんで引きずり出した。「助けたい一心だった」と振り返る。
男性は意識があり、「姉と父が1階にいる」と助けを求めた。高山さんたちは外から何度も呼びかけたが、返事は聞こえなかった。
市などによると、夜になり消防や警察が救出した60歳代女性は、一命を取り留めた。30日には90歳代男性も1階部分から助け出されたが、意識がなく、31日に死亡が発表された。
高山さんはこの90歳代男性と顔なじみだったといい、「全員が生きていてほしかった」と悔しそうに語った。(日下翔己)