福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑。本誌・週刊ポスト前号(2026年8月7日号)では、騒動の渦中にある蔵内勇夫・県議会議長(72)が推進した総事業費約400億円の筑後広域公園で、管理業務に身内企業が関与していた実態を報じたが、今回、”蔵内王国”に新疑惑が浮上した。ノンフィクション作家・広野真嗣氏が迫る。(文中敬称略)
身内を県事業に参入させる手口
正副議長就任をめぐる金銭授受疑惑で福岡県議会のドンこと、蔵内の包囲網は狭まっている。そんなふうに見える一方で今なお隠然たる力が残ると感じさせたのは、蔵内王国といわれる筑後市の市議会のニュースだ。
過去7回の無投票再選をお膳立てしてきた市議らが7月27日、「全容解明」を求める意見書を全会一致で可決。
地元から狼煙が上がったか……と思いきや、文面を見ると、批判対象はあくまで高額海外活動などで、ポストをめぐる金銭授受疑惑という本丸のネタは慎重に避けた。ドン復権の可能性も捨てきれず、まだ半身なのだ。
市議や元市議は取材に「ここであの男に睨まれると補助金も出らんぞと言われてきた」と恐れを語ったが、市内を歩くと、力を誇示するような施設がいくつも建っている。
本誌前号では、九州新幹線の筑後船小屋駅を挟んで東西4キロのエリアに県が400億円を投じてきた「筑後広域公園」に焦点をあてた。
県は隈研吾設計のゲートなど、高額なモニュメントを総額4億円かけて整備。その一角には、蔵内のワンヘルス(※注)に関する政治実績を称える金色のプレートまで設置されており、知事の服部誠太郎から蔵内への貢物と受け止められていた。
【※注/人の健康と新興感染症の原因となる環境や動物の保健衛生を一体的に捉える理念。獣医師であり、世界獣医師会の会長も務める蔵内がライフワークとして推進しており、福岡県では学校で教材が配布されるなど、ワンヘルス関連の予算が多く充てられている】
前号では、公園を管理する事業体の構成団体が、蔵内の元秘書A氏が社長を務める「株式会社アシスト九州」だったと記したが、身内を県事業に参入させる手口は、これだけではなかった。取材を進めると、蔵内の手法には、一定のパターンがあることが見えてくるのだ。
公園敷地内には2013年、総事業費21億円を投じて「九州芸文館」が整備された。巨大な折り紙を組み合わせたような特徴的な屋根を持つ建物。やはり隈研吾設計だ。