高市政権に“9月退陣説”浮上…「食品消費税1%」表明で党内政局と市場圧力

高市早苗首相が7月30日、来年4月から飲食料品の消費税を2年間に限り1%に引き下げる方針を表明した。秋の臨時国会に関連法案を提出して早期成立を目指すとのこと。
ここれを受け、SNSでは政権の9月退陣説が浮上している。その理由は主に2つ。自民党内の政局と市場圧力だ。
まず、自民党内の政局。高市首相は記者会見で「2年後、私が責任をもって確実に税率を(8%に)戻す」と明言したが、これには反発が多い。次の首相候補と言われる人からすれば「あなた本当に2年後、首相やってるんですか」という話だ。
仮に、高市首相が2年後もその座に就いていたとしても税率を戻すときは「8%への大増税」のように映るため、政治的に容易ではない。28年夏には参院選が控えており、減税の延長や恒久化を求める声が強まるだろう。そんな中で自民党の支持率がボロボロになるのは火を見るより明らかで、その状態でバトンを渡される次の首相にとっては迷惑な話だ。
自民党内で減税反対を明言する人はまだそれほど多くはないが、「財源のめどが立っていない。さらなる円安につながる」と記者団に話した河野太郎氏はその1人。大岡敏孝氏は熊本地震への対応に多額の費用を要するとして、小林鷹之政調会長に「立ち止まって考えるべきだ」と提言した。ある党四役経験者は「『減税反対』と会議で発言する」と予告している。
高市首相は記者会見で減税に伴う代替財源について、租税特別措置・補助金の見直し、税外収入の確保などを列挙し「市場の信認が得られるよう、赤字国債に頼らずに確保する」と説明したが、まさにこの“市場の信認”こそがカギになる。少なくとも現時点では、具体的数字のある代替財源は示されていない。
何とか与党内を説得できても、為替市場の財政悪化不安を払拭できなければ、苛烈な円安へと突き進む。円安のレベルにもよるが、減税による恩恵の多くは物価高(円安インフレ)によって削られてしまうというのが専門家の一般的見方だ。しかも、減税の実施は来年4月であり、それまで円安は進み続け、国民経済はますます困窮する。
そして、債券市場では財政不安と国債の増発リスクから長期金利(10年物国債利回り)が上昇する。金利が上昇すれば、住宅ローンや各種ローンの返済負担が増えるほか、企業の資金調達コストが上がって給与の伸びが鈍化するおそれもある。
高市政権が7月に「骨太の方針」を打ち出したとき、金融市場では円安・債券安(金利上昇)が進行し、いわゆる「骨太ショック」と呼ばれる強い警戒感が広がった。市場はすでに、高市首相が言い続ける「責任ある積極財政」を信用していない。消費税減税に伴う市場の混乱が高市政権にとってダメ押しになる可能性は十分にある。
文/横山渉 内外タイムス