首相判断にあらがえず議論幕引き…消費税減税巡り自民、「円の信用失う」「進め方が乱暴」反対派に不満残る

消費税減税を巡り、3日に開かれた自民党の税制調査会などの合同会議は、小野寺五典税調会長の一任取り付けで、幕引きとなった。党内議論の前に高市首相(自民総裁)が方針を示したことで、反対派はあらがうことが難しくなり、党内には不満を残した。(井美奈子)
「2年後に大きな影響が出てくる。大事な社会保障財源をどう戻すのか。ツケは次世代に回ってくる」
小渕優子・元経済産業相は会議後、党本部で記者団にこう強調し、食料品の消費税率を2年間限定で1%に引き下げる方針に反対を表明した。
小渕氏は党税調の幹部会合(インナー)のメンバーを辞任した理由について、「1%案に大変大きな懸念を持っている。まとめ役として、役割を果たすことができないと思った」と説明した。
石破前首相の盟友として知られる村上誠一郎・前総務相も会議で「消費税減税をやったら円の信用を失う」などと述べ、「もう一度再検討すべきだ」と批判した。
反対派はこの日、会場の前方に陣取って異論を唱えたが、それぞれの発言を終えると、続々と退席した。
一方、賛成派は、首相に近い山田宏参院議員が「首相が決断したものを、ここでひっくり返すのはない」とけん制した。鈴木宗男参院議員も「消費税減税は公約だ」と語気を強めた。賛成派は前回の合同会議に続き、保守系や積極財政派の議員を中心に動員がかかった。
会議開始から約2時間半で意見が出尽くし、最後はほぼ賛成派で埋め尽くされる中、拍手で一任が決まった。
小野寺氏は会議後、記者団に対し、反対意見について「貴重な意見だ」と述べたうえで、「懸念をしっかり乗り越えられるか、新たな努力が必要だ」と語った。
政府は5日にも消費税減税の方針を閣議決定したい考えで、自民は同日に臨時総務会や政調審議会で党内手続きを終えることを想定している。総務会には反対派のベテランもいるが、周囲に欠席する意向を示している議員もいる。
党内議論は、首相が想定する日程で進んでいる。党幹部によると、小林政調会長は首相が方針を示した先月30日の臨時役員会に先立ち、役員らに反対表明しないよう水面下で念押ししたという。党内からは「進め方が乱暴だ」「言うだけのことは言ったが首相方針ありきで決まってしまう」などと、不満の声が漏れている。
野党「2年限定1%」批判…減税主張から軌道修正
野党各党は、高市首相が食料品の消費税率を来年春から2年間限定で1%に引き下げる方針を示したことについて、批判を強めている。選挙公約で減税を掲げたものの、経済情勢の変化などを理由に軌道修正を図っている。
立憲民主党の水岡代表は3日の記者会見で「物価高の状況で、消費税減税がすぐ国民生活に寄与することはなかなか望めない」と述べ、首相の対応を批判した。
立民は昨年7月の参院選で、食料品の消費税率を原則1年間ゼロに引き下げる案を公約に掲げたが、現在は円安や金利上昇などを理由に、来年春を待たずに低所得者らへの支援策の実施を訴える。水岡氏は「政策の見直しを議論している。我々の考えに少し変化があったことは事実だ」と語った。
中道改革連合の小川代表も財源確保や2年後に再増税となるなどの課題があることから「簡易な給付措置の方が効果的ではないか」と訴えている。同党は今年2月の衆院選公約で、恒久的な食料品の消費税率ゼロを掲げた。小川氏は7月31日の記者会見で「あらゆることをタブー視せず、広く見直したい」と述べ、公約の修正があり得るとの認識を示している。
国民民主党の玉木代表は3日のユーチューブ番組で、「飲食料品だけ1%で2年限定は弊害が大きい」と指摘した。同党は衆院選公約で、賃金上昇率が物価上昇率プラス2%に安定するまで消費税を5%に減税すると掲げた。すでにこの水準に到達したことから、玉木氏は見直し検討を表明済みだ。