地震の爪痕を歩くと、恐怖の瞬間を知る60代女性に話を聞くことができた。
「突然ドーンと大きな音がして、地響きがしたとよ」
大地震発生時の状況
熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生したのは7月28日午後4時27分ごろ。宇城市と氷川町で震度7を観測し、嘉島町の「イオンモール熊本」では地震の約1時間20分後に爆発が起き、7人が死亡した。県の発表によると、地震の死者は計36人に上る(8月1日時点)。
冒頭の女性はイオンモール近くに自宅がある。
「外に出ると建物からキノコ雲のような白煙がもくもくと上がっていて、あぁ、爆発したんだと気づきました。娘がちょうどイオンに行っていて、爆発したときは買い物を終えて車に乗り込んだところだったそう。奇跡的に無事でした」(前出・60代女性)
外壁や窓ガラスが吹き飛んで骨組みはむき出し。女性の孫の女子中学生は寂しそうに話す。
「この夏休みは週3、4日は行っていました。友達と一緒にTSUTAYAやマック(マクドナルド)へ行ったり、カプセルトイコーナーに立ち寄って遊ぶんです。みんなの居場所がこんなふうになってしまって悲しい。また、元どおりになってほしいです」
県内各所で断水や停電が発生し、灼熱の被災生活を余儀なくされている。
「停電も断水もなかったんですが、地震の2日後も水道水が濁っているんですよ。泥水でシャワーを浴びても気持ち悪いので、熊本市内の実家までお風呂に入りに行っているんです」(嘉島町の40代女性)
被災地の過酷な実情
断水が続く宇城市は家屋の損壊も激しい。自宅が半壊した40代女性は言う。
「クーラーが壊れたので扇風機を回しています。風呂に入れないのでタオルで身体を拭いていますが、それだけだとやっぱり身体が臭うんですよね。心配なのは高齢の母親。別居しているので、熱中症にならないように毎日、氷やアイスクリームを届けています」
庭先にブルーシートの屋根を張り、その日陰で過ごす家族がいた。自宅はほぼ全壊。暑さは大丈夫か。
「意外と風通しがいいんですよ。日中はだいたいここにいますね。避難所は気を使いますし、愛犬と離れずに生活できます。起きたことをクヨクヨしても始まらない。どうなるかわからんけど、精いっぱいやろうと思う」(70代女性)
2つの暑さ対策を心がける70代男性に会った。
「高齢になると、それほど水分をとらなくてもいいような気がするんだけど、脱水状態にならないようにチビチビ、こまめに飲むようにしている。それと、塩アメをなめる。不便なのはトイレ。小は田んぼや畑でできるけど、大のときは車を運転して、断水していない知人宅に行っとるね」
別の年配女性は、小声で教えてくれた。
「トイレは庭でしとる。ばってん、なるべく夜の闇に紛れて(笑)」
たくましい被災者が、たくましくいられるうちに、復興の道筋をつけて支援の輪を広げたい。
週刊女性2026年8月18日・25日号