「カツアゲの最悪版だ」検察官が被告の身勝手な主張を一蹴【江別集団暴行死】主犯格とされる男(当時18)ら2人の被告人質問《連載③》

検察は2人を厳しく追及
当時20歳の大学生、長谷知哉さんへの集団暴行死事件の裁判員裁判。主犯格とされる当時18歳でアルバイトだった男と、川村葉音被告の交際相手で当時17歳のアルバイトの少年は、自らの責任を軽く見せようとも受け止められる証言に対して、検察が鋭く追及しました。《連載(3)》
7月15日の公判。被告人質問に立った主犯格とされる男に対し、検察官は「ゆがんだ正義感」という言葉の真意を厳しく問いただしました。主犯格とされる男が弁護側の質問で「よかれと思って、ゆがんだ正義感で肉体的、精神的に苦しい思いをさせ、被害者さんの人生と命すべてを奪った」と謝罪の言葉を述べたことに対し、検察官は「江別に行くことになって、迷惑を受けたとか、血が付いたとかそういう理由で殴ったり蹴ったり、気の緩みなのですか?」「正義感があったんじゃないの?」と追及。
いるの?こんな情報。俺、逮捕状出ているって
主犯格とされる男は「被害者に(自分の)言っていることを理解してほしい、正直に自分に話してほしいというのはありました」と答えましたが、検察官は「被害者は嘘をついたのですか。証拠も揃って、ある程度実態がわかってきたわけじゃないですか。被害者は嘘をついたのですか」と問うと、男が「全くついていません」と認めると、検察官は「なんなの、その被害者が嘘ついたみたいな話は」と、男の証言の矛盾を非難しました。
さらに検察官は、事件当時の音声記録に残された男の言葉を取り上げました。長谷さんに対して「警察から逮捕状出ているから捕まるんだ俺(実際は家裁からの呼び出し)」と発言したことについて、検察官は「何で被害者にそれをいうの?いるの?こんな情報。俺逮捕状出ているって」「かましてやろう、逮捕状出ているぐらい悪なんだぜってビビらせる魂胆だったのでしょ?」と厳しく指摘。主犯格とされる男は「当時は少しあったと思います」と認めざるを得ませんでした。
その辺のカツアゲの最悪版という感じじゃない?
「血が付いたとか、迷惑代とか、そもそも暴行の理由に八木原(被告)関係ないですよね」と切り込んだ検察官は、「あなたたちも迷惑かかったという話をしていたよね。勝手に来て迷惑代を払えとは、どういうことなんだろう。ボコボコに蹴り入れて、カップルの話も聞かずに、血が付いた金払え、迷惑代だ、これどういう発想?こんなのただイライラしてあなたが勝手に腹をたてて、その辺のカツアゲの最悪版という感じじゃない?」と、暴行の実態が単なる金品の強奪だったのではないかと問うと、主犯格とされる男は「そうだと思います」と小さな声で答えるしかありませんでした。
一方、少年(当時17)に対しても、検察の容赦ない追及が続きました。7月16日と23日の検察側の被告人質問で、少年(当時17)は犯行後の行動を問われました。
長谷さんから奪ったお金の使い道を問われた少年(当時17)は、「2000円ほど、事件後のラーメン屋で、次の日の外食に行った時にハンバーグ店で5000円、お釣りはゲームセンターで100円ぐらいUFOキャッチャーで使いました」と証言。検察官が「いつもあなたがラーメン屋で使うよりも多いですか?少ないですか?」と問うと「多いです」と回答し、「被害者から取ったお金で贅沢しようと考えたと思います」と、奪った金で遊興にふけっていた事実を認めました。
さらに検察官が「被害者が亡くなっていると、いつ頃知った?」と問うと、少年(当時17)は「その(ハンバーグ店での)外食中です」と答えました。長谷さんの死亡を飲食店で食事中に知るという状況で、どのような気持ちだったかを問われると、「人を殺してしまったんだと考えたが、事件についてニュースや記事で何も出ていなく、ばれないんじゃないかと思った」と当時の心境を述べました。
お疲れ。今日は楽しく終わったと思ったのに
また、7月13日の検察側の証拠調べでは、犯行後の隠ぺい工作やLINEでのやり取りが証拠として示されました。
長谷さんの衣服をすべて脱がせて放置した後、被告らは長谷さんのスマートフォンからSIMカードを抜き取って排水溝に捨て、衣服やスマホ本体を川に投棄しました。
さらにLINEのグループトークでは、主犯格とされる男が「お疲れ。今日は楽しく終わったと思ったのに」と送信。長谷さんの遺体が動いていたという話題に対し、主犯格とされる男が「コンクリートにズレていたんだね笑。草が濡れてつめたかったんでねーの?笑」と、長谷さんを冒涜するメッセージを送っていたことが示されました。
事件発覚を恐れ、八木原被告が警察に出頭すると知った際には、少年(当時17)が「アマ(八木原被告)やりたい放題だな一番凶悪」、主犯格とされる男は「普通に殺す」と送信するなど、自分たちに捜査が及ぶことへの憎しみを八木原被告に向けました。
そこには、自らの罪を直視せず、身勝手な言い訳や保身に終始する被告たちがいました。
2人の被告の判決は、8月7日に言い渡されます。
起訴状によりますと、主犯格とされる当時18歳のアルバイトだった男は、当時17歳の少年ら男女5人と共謀し、2024年10月25日から26日にかけて、長谷知哉さん(当時20)の顔や腹部を多数殴る蹴るなど暴行。
さらに「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」などと脅迫して暴行を加え、現金やカードなどを奪い、長谷さんを外傷性ショックで死亡させたうえ、奪ったクレジットカードでたばこなどをだまし取ったほか、キャッシュカードで現金12万7000円を引き出したなどとして、強盗致死や詐欺、窃盗などの罪に問われています。