「臭いがきつくトイレを控えたい」──排泄物の処理が追いつかない現状も 熊本地震1週間 現地取材で感じた暑さ・トイレ問題

7月28日に熊本県で発生した地震では、今なお多くの被災者が避難生活を強いられています。特に厳しい問題として、暑さとトイレ事情が挙げられます。冷房なしで車中泊をする人や、排泄を控える人も。現地で取材した記者と、被災地の現状を考えます。
山﨑誠アナウンサー
「地震の発生から4日で1週間です。地震発生翌日から被災地で取材を行った、(日本テレビ)社会部の今田優衣記者と、被災地の現状についてお伝えします。今田さんは7月29日~8月2日、現地で取材をしていました」
今田記者
「現地は本当に暑く、少し外に出るだけで汗が噴き出すような状況でした。特に厳しいと感じた現状が2つありました。1つ目は暑さ、 2つ目はトイレの環境です」
「発災以降猛暑が続いていて、4日の熊本市は最高気温36.8℃と猛暑日でした。発災当初は冷房がつかない避難所もあり、車中泊をされる方がかなりいらっしゃいました」
「ただ車中泊をされた方は、『冷房を入れた状態で一晩過ごしたらガソリンが半分ほど減ってしまった』と言っていました」
森圭介アナウンサー
「氷川町で車中泊をされた方が、熱中症の疑いで亡くなったというニュースも伝えてきました。寝ている途中でガソリンが切れてしまうことも考えうる、ということですよね」
今田記者
「私が取材した氷川町に住む田中正さんは地震で家が潰れてしまったのですが、発災直後は氷川町の避難所がまだ開設されておらず、自身の軽トラックで一晩過ごしたそうです」
「しかしガソリンの残りが少なかったため、冷房を我慢。『車内よりは涼しいと思ってトラックの荷台で寝ようとしたものの、暑さで全然寝られなかった』と話していました」
山﨑アナウンサー
「私も現地を取材しましたが、地震があった翌日(7月29日)の午前8時にはもうガソリンスタンドに長蛇の列ができていて、皆さんガソリンをなんとか入れようと並ばれていました」
「ただ多くの方が並んだ分、すぐに売り切れになってしまったガソリンスタンドもあり、ガソリンが欲しくてもなかなか手に入れることが難しいという状況もありました」
桐谷美玲キャスター
「夜も気温がなかなか下がらず、涼しい状況ではないと思うので、より熱中症も心配ですよね」
今田記者
「避難所に電気が通った後も、避難所は気を使うからといった理由で、ガソリンを節約しながら車中泊を続ける方もいました。暑さの中で命を守るためにも、まずはできる限り避難所を利用してほしいと感じました」
山﨑アナウンサー
「クーラーを使えない状況での車中泊などについて、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに聞きました。クーラーをつけられない自動車では、車内の温度を下げることは困難で、『車中泊は極力避けてほしい』と話していました」
「ただ、どうしても車中泊をしなければいけない状況で、冷房も使えないという場合は、建物などの日陰に移動し、安全と防犯が確保できる範囲で、窓だけでなくドアやバックドアも開けるということです。風通しを良くするということですね」
「そして車体の上に空間を設け、キャンプで使うタープなどを張って車体に当たる直射日光を減らす。こうすることで、少しでも車の温度を下げることにつながるということです」
今田記者
「続いて、避難所のトイレの環境です。トイレについてはかなり厳しい状況だと感じました」
山﨑アナウンサー
「断水が続いている地域が多く、水が使えないので、仮設トイレがいくつか用意されているという状況です。ただ厳しい暑さの中で、外の個室の中なので、暑さや臭いを気にされる方は多くいらっしゃいました」
今田記者
「私が取材した、地震発生直後の八代市の避難所や氷川町役場では断水していたため、凝固剤を使用する簡易トイレを使っていたのですが、排泄物を入れた袋が積み重なったままで処理が追いついていない状況でした」
「さらに衛生面では、発生から時間がたつにつれて、くみ取り式の仮設トイレを設置する避難所がありました。こちらでも排泄物のくみ取りが間に合わず、連日の暑さもあり、『なかなか臭いがきついところ』と話す避難者の方もいらっしゃいました」
森アナウンサー
「昔から災害時のトイレの問題はついて回るものでしたが、暑さの次元が変わったことによって課題も変わってきたんですね」
今田記者
「被災地は連日暑かったのですが、『熱中症対策のために水分を取りたいけど、臭いがきつくトイレを控えたい』と水分を取ることを我慢している人や、『簡易トイレの使い方が分からないから』と、使うのをそもそも控えている方もいらっしゃいました」
瀧口麻衣アナウンサー
「トイレはプライバシーのこともありますし、なかなか人に相談できないという方も大勢いらっしゃるのかなと思います。また簡易トイレは普段使わないものなので、改めて使い方を確認しておくことが大切ですね」
山﨑アナウンサー
「災害時のトイレ問題については、自治体なども動き始めています。東京・品川区は8月2日、換気扇がついた水洗式のトイレトラックを熊本県の宇城市役所に派遣しました」
「品川区の担当者によると、これまで起きた災害でトイレ環境の悪化によってトイレに行かず、災害関連死につながってしまったことを受けて、きれいなトイレを使ってほしいと被災地に派遣したそうです」
「この品川区が派遣したトイレトラックと同じものではありませんが、トイレカーを現地で取材しました。男性用・女性用トイレとは別の、駅や商業施設にある車椅子などの方も入れる『誰でもトイレ』ほどの広さがあり、中もきれいで水が流れました」
「また、災害用トイレなどを扱う日本セイフティーは、特殊な防臭フィルムの中に排泄物を入れて熱で密封できる『ラップポン』を、熊本県内の病院や避難所を中心に導入しました。食環境衛生研究所によると、約1か月臭いをもらさないということです」
今田記者
「地震発生から1週間ですが、厳しい暑さでの避難生活や片付け作業の中で、心だけでなく体にも大きな負担がかかっていると思います」
「取材する中で、『暑さはつらいけど贅沢は言えないから』と我慢を重ねる方もいました。避難所を支援する医師も『遠慮した結果、体調を崩される人も多い』と話していました」
山﨑アナウンサー
「熊本県八代市の旅館では、4日から避難者の受け入れが始まります。二次災害を防ぐためにも、受け入れが始まっているホテルなどへの二次避難も検討していただきたいと思います」
(8月4日『news every.』より)