〈大山で謎の不法投棄〉大量の食パンの次は「鶏の内臓」…7日間で5日も繰り返される怪行動、警察も捜査「落としたとは考えにくい」

鳥取県の大山隠岐(だいせんおき)国立公園・大山を通る県道沿いで、8月中旬、3日連続で大量の食パンが置かれているのが見つかった、不法投棄とみられる事案。単なる落下物とは考えにくい状況に戸惑いが広がるなか、事態は新たな展開を見せていた。空白の2日間を経て、今度は「鶏の内臓」が地面に直置きされるなど、8月14~20日の7日間のうち、延べ5日間にわたって投棄が繰り返されていたことが判明したのだ。一体誰が、何のために置いているのか。
【画像】食パンの次は…19日に発見された「鶏の内臓(レバー)」
3日連続で大量の食パン、2日空けて今度は「鶏の内臓」
現場となったのは、鳥取県西部の大山隠岐国立公園にある大山(だいせん)周辺。大山町と伯耆町(ほうきちょう)の境界付近を通る県道158号、通称「大山環状道路」沿いだ。
大山地域で公園施設管理や美化清掃などに携わる自然公園財団鳥取支部の職員によって、8月14日から16日にかけて、ガードレール沿いに大量の食パンが等間隔で置かれているのが相次いで発見された。3日間の回収量は合計28.5キロに上った。
しかし、事態はこれで終わらなかった。公園を管理する自然公園財団の担当者は、その後の状況をこう説明する。
「3日にわたり食パンが置かれていたとお聞きになっているかと思いますが、当時は3日だったものの、今日また見つかりまして現在『5日目』になります。最初の発見は8月14日のことで、150メートルにわたり食パンを30個発見しました。その後、15日、16日も報道の通り置かれていましたが、17日と18日は見つかっていません」(自然公園財団の担当者)
投棄はやんだかと思われた矢先、19日になって再び動きがあった。
「しかし、19日と20日にもまた置かれていました。しかも19日はパンではなく、『鶏の内臓(レバー)とみられるもの』が同じような場所にあり、今日になってまたパンが置かれていたという状況です」(自然公園財団の担当者)
19日に発見された鶏の内臓は1.3キロ。翌20日には、1本で約4斤分に相当する巨大な食パンを半分にちぎったようなものが十数個、計10.5キロも投棄されていたという。パンのメーカーが同一かは不明で、内容物について、公表された検査結果は確認できていない。
投棄された場所は、大山寺と、冬場にスキー場となる桝水(ますみず)高原のちょうど中間あたりで、ハイキング客も訪れる「横手道」に近いエリアだ。当時の状況について、鳥取県西部総合事務所環境建築局の担当者はこう説明する。
「食パンの置かれ方についてですが、現場では2メートル、3メートルぐらいの等間隔でずっと置かれていました。一方で鶏の内臓が置かれていたのは、最初の14日にパンがあったところの近くです。袋などには包まれておらず、『裸で直置き』の状態で、山側に5カ所点在していました。
現場に置かれた時間帯は分かりませんが、発見した時間帯は大体似ています。14日は大体11時半ぐらいでしたが、それ以外はもうちょっと早い9時とか9時半ぐらいで、全部午前中の発見です。周辺はもう山で真っ暗ですから、防犯カメラなどはありません」(環境建築局の担当者)
「餌付けにつながる」クマ出没への懸念、警察も捜査
国立公園内での度重なる投棄に対し、事案を共有している環境建築局の担当者は強い危機感を抱いている。
「これだけ複数日にわたって食パンの投棄があるということ自体、あまり聞いたことがない事態です。不法投棄という側面もあるものの、国立公園大山という野生動物や鳥などがいる場所ですので、動物たちを『餌付け』してしまう行為になると考えています」(環境建築局の担当者)
夏場はエサ不足から、クマが低い標高まで行動範囲を広げる時期だ。人間の食べ物の味を覚える「餌付け」は、クマを同じ場所に繰り返し出没させ、人里への接近や人身事故のリスクを高める。
「もしクマが出た場合は本当に危ないです。大山付近でのクマの目撃情報ですが、去年は登山道で見つかったのが1件でした。しかし、今年度に入ってからは、この8月の段階ですでに2度も出没がありましたので、今年は例年に比べて少し多いかなという感覚です」(環境建築局の担当者)
クマの活動が活発化するなかでの大量の食料投棄。「なおさらクマの出没を助長するようなことになっちゃうと困る」と担当者は語る。
現在、所轄の警察署が現場を確認し、不法投棄として捜査を進めている。「3日も連続で続きましたから『落としたというのは考えにくい』と警察もみています」と財団担当者は話す。
行政側も警察と連携してパトロールを強化し、防犯カメラの設置も検討しているという。
「お盆の期間中は近くに観光地もあり車通りは結構多かったものの、人家等がありませんので、夜間や早朝はわりかし人通りが少なくなります。そのため、犯人特定に至るのはなかなか難しい状況です」(環境建築局の担当者)
国立公園にひっそりと食パンや内臓を等間隔に並べる人物。その目的が何であれ、大山の自然環境や観光客の安全に影響を及ぼしかねない行為だ。本格的な秋の行楽シーズンを前に、警察による全容解明が急がれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班